「PANKO」輸出伸長 日本食ブーム、高品質に引合い
世界的な日本食ブームの中、寿司や天ぷらに次ぐ人気メニューとして挙げられるのが、豚カツだ。豚カツをはじめ揚げ物に欠かせない存在にパン粉がある。日本のパン粉は『PANKO』として輸出され、海外の豚カツ専門店や日本食レストランなどで使用されている。大手パン粉メーカーによると、輸出量はここ1、2年で2~3割以上伸長。輸出先も東南アジアをはじめ欧州、米国、アフリカと地域が拡大している。これまで乾燥パン粉を冷凍で輸出するのが主だったが、近年ではより本格的なパン粉が求められることから、生パン粉を常温で輸出する動きもある。(三井伶子)
ここ数年、東南アジアを中心に「日式」と呼ばれる日本食レストランが増え、「新宿さぼてん」「とんかつまい泉」といった豚カツ専門店の海外進出も加速している。それに伴い、高品質な日本のパン粉が海外でも求められ始めている。最近ではアフリカやメキシコなどからも引き合いがあるという。
日本のパン粉は焼いたパンを砕いたもので、ブレッド クラムス(bread crumbs)と呼ばれる海外のパン粉とは、揚げた時の色や食感、風味がまったく異なる。
パン粉は水分含有量の違いから、乾燥パン粉と生パン粉に分けられる。賞味期間が長く、保管が容易な乾燥パン粉のほうが一般的だが、豚カツ専門店などで使われているのは生パン粉となる。
パン粉の輸出では、乾燥パン粉を冷凍で輸出するケースが大半だが、最近はより本格的なパン粉が欲しいとの要望から、生パン粉を常温で輸出する取組みも始まっている。
生パン粉が求められる理由の一つに「剣立ち」がある。揚げ物の衣が花が咲いたように立つことを剣立ち(けんだち)と呼ぶが、冷凍パン粉だと、解凍方法によっては揚げた時の剣立ちがなくなり、食感や見栄えがしなくなる。
生パン粉の輸出において肝となるのが、包材だ。メキシコなどの遠隔地や暑い国に向けての輸送を可能にするには、包材の素材やガスバリア性、柔軟さなど、さまざまな要素が絡む。実証テストを重ね、生パン粉の賞味期限を現状の60日から120日まで延長し、輸出に取り組むメーカーもある。