注目の繁盛店 カニ料理専門店「かに道楽」、値段よりも品質重視

1995.08.07 82号 17面

かに料理専門店として独特の経営でチェーン展開しているのが(株)かに道楽。発祥地は大阪だが、関東地区の東京、神奈川、静岡の一一店舗については、(株)東京かに道楽が運営している。

昨今は、経済の低成長が定着し、外食市場も各業種業態間の競争が激化するなど厳しさを増しているが、専門店としての強みからか「客数、売上げとも全く変化が見られない」(今津久雄専務取締役)というほど安定している。食材の九割近くを占めるカニの仕入れ、加工、保管、配送のネットワーク化が大きな力となっている。

カニは、ズワイガニをメーンにタラバガニ、毛ガニを使用、鮮度保持を第一に、北海道産については紋別直営工場で加工したものを各店へ航空便で送っている。

円高メリット、低価格志向のトレンドの中、各飲食企業では海外からの食材調達が活発化しているが、かに道楽の場合は創業以来、コストよりも「品質重点主義」を貫いている。それだけに一人当たりの平均客単価が一万円(昼六五〇〇円)と一般の飲食店から見るとやや高いものの、「この価格でこれだけの味のカニのメニューはほかでは絶対に食べられない」と自信のほどをみせている。

どの企業も、人材教育はひとつの大きなキーポイントだが、ここでは、研修センターの「JRBC」(ジャービク=ジェイロード・ビジネスカレッジ)と、接客専門養成機関の「(株)ジャスク」(ジェイロード・エデュケーションスタッフ・コミュニティ)を設け対応している。

かに道楽の店舗は個性的。利用客は、全体では法人六〇%、個人四〇%だが、ヤング、家族連れなどの個人客が多い「新宿駅前店」は、ビルの四階とは思えない高い天井、豪華な内装と静けさで、ここだけは別世界。一〇〇~二五〇坪というのが店舗の平均的な広さだが、「横浜店」は四六〇坪(年間売上高一〇億円)というジャンボサイズだ。

カニを最も食べやすい状態で提供するすべてのノウハウを備えているだけに、今後も他社の追随を許さない堅実な発展が見込めよう。

人気メニューは、“器に酔い料理に酔う”というキャッチフレーズの「かに会席」。「寿」(七〇〇〇円)は、かにみそ、かに豆腐、かに刺身、かにの味くらべ、焼かに、かに天婦羅、かに寿司、赤だし、フルーツが、「松」(五五〇〇円)は、かにみそ、かに豆腐、かにの味くらべ、かに天婦羅、焼かに、かにサラダ、ご飯、お新香、赤だし、フルーツが、それぞれついている。東京は大阪と違い、これら会席料理を注文する人が圧倒的に多いというのも特徴的。

注文があればコンロを客のところに運び、炭火で焼くという生ビールと組み合わせた「かに炭火焼」は、「タラバかに」(五〇〇〇円)、「ズワイかに」(四〇〇〇円)。今津久雄専務自らがメニュー開発したという「タラバ刺身」(二八〇〇円)、「かに刺身」(一六〇〇円)といった各種の刺身。「かに唐揚げ」(一五〇〇円)、甲羅を使った「道楽揚げ」(一一〇〇円)なども人気がある。「新宿店」では「毛がに姿茹」小・六〇〇〇円、大・九〇〇〇円)も注文が多い。

◆かに料理専門店「かに道楽」/経営母体=(株)東京かに道楽(本社=東京都新宿区新宿三‐二一‐六、龍生堂ビル三F、Tel03・3350・0154)/店舗数=一一(直営)

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