FCビジネス点検 「ドトールコーヒー」 店・商品・人がキーワード
都心のビジネス街や駅前の商店街で、例の黄色い看板をよくみかける。
「一八〇円コーヒー」を看板商品にするドトールコーヒーのチェーン店だ。今年9月現在で直営五四店、FC三四六店の計四〇〇店を出店する。
チェーン展開は昭和55年10月、東京・青山にFC第一号店を出店以来好調に推移しており、ここ二、三年は年間六〇~七〇店の勢いでチェーン化が進んでいる。
出店は首都圏を主体に、北海道から九州、沖縄まで国内主要都市のほか、韓国、台湾など海外にもおよんでいる。
海外進出は九一年からで、現地企業とのFC契約によって具体化しており、韓国、台湾両国合わせすでに三四店を出店する。
海外については今後中国、タイ、ロシアでも出店していく計画で、ここ一~二年内には実現する。
商品の売上げ構成比は、主力のコーヒー関係が五三・〇%、フード類二六・七%、コーヒー豆の挽き売り一〇・六%、ジュース類四・四%、その他物販五・三%。
この収支モデルは、オフィス型立地の場合で月商一三六〇万円強。支出七四%、償却前利益二六%。店舗開業資金(物件取得費を除く)は、二五坪規模で内外装二〇〇〇万円、厨房設備費一三〇〇万円、空調設備費三二五万円など合わせて約四〇〇〇万円。
坪当たり一六〇万円の出店コストということだが、単純計算すれば一、二年内に資本回収するということになる。
FC加盟の条件は、加盟金一五〇万円、保証金一五〇万円、研修費一五万円(一名)、設計監理料三〇万円+内装費・空調設備費の六%、ロイヤリティ二%。
FC店には喫茶の不採算店や他業種、他業態からの開業も多い。成功者の中には一オーナーで一二店を“チェーン化”するというように、多店舗化のケースも少なくない。
しかし、FC加盟の最大の条件はドトールの「企業理念」に共鳴できるかどうかということで、だれもが加盟者になれるということではない。
国内においてはトータルで一三〇〇店近くの出店が可能とみているが、これは平成15年度を目標に達成する。
低価格志向の消費者マインドとFC店での多店舗化が進んでいるので、十分にクリアできるとみているが、しかし、最近はドトールの一八〇円コーヒーに触発されて、多くの“ライバル店”が登場してきており、また、「一五〇円」や「一〇〇円」コーヒーも出現してきているので、市場もシビアになっている。
ドトールにおいては先発チェーンとしての優位性をどう保っていくか、さらに強いマーケティング力が望まれるところだ。
「単に価格が安いということでは消費者は納得しないと思います。やはり質の問題も大切なことではないでしょうか。私どもは店・商品・人をキーワードに、低価格でありながら、いい雰囲気で満足のできる商品とサービスの提供ということを企業理念にしておりますので、この考えにおいて、これからも市場をリードし続けられると自負しております」((株)ドトールコーヒー社長室足立荒男室長)。
ドトールは価格のみならず質の追求もしているということだが、店舗展開については「ドトールコーヒー」ほか、「カフェコロラド」「カフェエクセシオール」「カフェコナファーム」「カフェテレジア」、そしてパスタ料理の「オリーブの木」の六業態をチェーン化している。
立地および市場戦略においても、独自性を発揮しているということだ。
「ドトールコーヒー」は中軸を成す業態だが、これは商店街型、繁華街型、オフィス型の三つの立地パターンでチェーン化を推進している。
商品はドリンク分野がブレンド、アメリカン、エスプレッソ、アイスコーヒー各一八〇円をはじめ、紅茶、アイスティー、オレンジ、グレープフルーツジュース各二〇〇円など一二種。フードメニューはバタートスト一五〇円、ジャーマンドック一九〇円、レタス・スパイシードック二二〇円、ミラノサンドA・B・C各三五〇円など七種。
これら商品は持ち帰りもできるが、営業効率を高めるために、メニューアイテムを絞り込んでいる。いわば、FF機能の喫茶チェーンということだ。
・企業名/(株)ドトールコーヒー
・設立/昭和37年4月
・代表取締役社長/鳥羽博道
・資本金/一九億六四六八万円
・本社所在地/東京都港区芝浦三‐一七‐七
・電話/03・5440・7123
・年商(全体)/三四〇億円
・出店数(全体)/直営七三店、FC五二九店(九四年度)