日本食品添加物協会、大学共通テスト問題文へ苦言 「甘味料について誤解与える」
日本食品添加物協会(日添協)は22日、協会のホームページで16、17日に実施された2021年大学入学共通テストの英語(リーディング)問題文に対して「甘味料について誤解を与える」と苦言を呈した。
問題文の該当部分は、英語リーディング第6問Bの「Apart from calories,however, some research links consuming artificial LCSs with various other health concerns. Some LCSs contain strong chemicals suspected of causing cancer,while others have been shown to affect memory and brain development,so they can be dangerous,especially for young children,pregnant women,and the elderly.」(日添協和訳=「しかしながら、カロリーとは別に、ある研究は、人工的に作られた低カロリー甘味料摂取と様々な健康への懸念を関連付けています。低カロリー甘味料のうち、発がん性の懸念のある強力な物質を含むものもあれば、記憶力、脳の発達に影響するものもあり、それらは、特に幼児、妊婦、高齢者に危険となりえます」)。
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同抜粋箇所の表現は「受験生および多くの関係者に甘味料に対する誤解を与えると日添協は判断する」と説明。
問題文に対する日添協の見解として「甘味料に関する研究は幾多と発表されており、出題内容そのものを明らかな誤りとして指摘するものではない。しかし、研究発表された内容でも、それが安全性の専門家または機関にて検証されているとは限らない。甘味料などの食品添加物は、さまざまな論文などを基に複数の専門家の審議を経て、安全性が確認されている。
今回の共通テスト問題文で取り上げられた低カロリー甘味料(aspartame,Ace-K,stevia,sucralose,advantame)は、日本のみならず海外各国で、その安全性に問題無く使用が認められている。この記載が無く、ごく一部の研究内容を基に安全性への懸念だけをクローズアップするのは、公に使用が認められている甘味料に対して、誤った認識および不安や混乱を与えてしまうと考える」と説明して、「この内容が、非常に多くの国民に認知される大学共通テスト(受験者数=52万0600人)の場で問題文章とされることは、学生、教育関係者のみならず、多くの方々に不利益をもたらし、適切ではないと考える」と苦言を呈した。(江端哲也)