特集 女性御用達スープ専門店 「すうぷ屋」
東京都渋谷区を拠点にチェーン三店舗を展開する「すうぷ屋」(本部=東京都千代田区、03・3574・7079)は、国内初のスープ専門店として一一年前にオープンした。食べるスープのコンセプトを掲げ、さまざまなスープを世に啓蒙した。例えばなじみの薄かったスープスパゲティやパイ包みスープを知らしめたのも、同店である。食べるスープという斬新な発想とスープ専門という珍しさで、メディアにもたびたび登場、盛況の一途を辿った。ここ数年は景気低迷のあおりで以前ほどの勢いこそは見られないが、それでも売上げは対前年をなんとかクリア。周りの飲食店の売上げは対前年比一五~二〇%減というからまずは大健闘といえるだろう。
味付けをしっかり
同店の客層は女性が八割を超える。「女性の方が温かいものを好む傾向があるようだ」と、レストラン畑一筋の蝦名直樹店長は指摘する。そのため、スープを売り込むためには女性を意識してかわいいメニューのネーミングを考えることが重要という。例えば、コーンスープは「メアリーおばさんのとうきび畑」、パイ包みスープは「満月の森の不思議なパラソル」、スープスパゲティは「美食倶楽部はいたずらほっぺ」など。男性が見ると気恥ずかしくなるぐらいのロマンチックなネーミングがいいらしい。メニューを見ているだけで喜ぶそうだ。
また場所柄客層の八割が一〇代後半から二〇代前半で占める。「若年層はボリュームにお値打ちを感じる。スープとメーン感覚の具材を組み合わせたアイテムなどが支持される」としている。「ステーキスープ」や「魚のグラタンスープ」などがいい例だ。また、味付けについては「本物の素材を食べる機会が減り、化学調味料に慣れているため、香りを重視した本物志向のスープは受けない。しっかりとした味付けの上に素材の味をアレンジしなければ」という。
専門色さらに深め
すうぷ屋のメリットについては「完成されたレシピがあれば、アルバイトにもある程度作業を任せられる」とし、逆にデメリットについては「単価の安いことを前提にメニュー開発を考えなければならないこと」という。だが、トータルでは「スープはメニュー開発に無限の可能性があり冒険ができる。味を引き出すコツを見つけるのが楽しい」と、やりがいを感じているそうだ。現在のガス厨房を電化厨房に替えればさらにスープの可能性を追い求められ、作業の効率化も図れるとし、早くも将来の「すうぷ屋」像を頭に描いている。
同店はこの冬からセットメニューや一品料理のアイテム縮小を検討し、さらに、専門色の濃いスープ店を目指して新たなスタートを切る考えだ。
◆「すうぷ屋」(渋谷店)=東京都渋谷区宇田川町一三‐一一、03・3462・0667、六〇坪・八三席、客単価一二〇〇円(昼)、二〇〇〇~二三〇〇円(夜)、一日回転数四・五回(平日)、九回(休日)、月商二〇〇〇万円~二五〇〇万円(冬場)