東京メトロがゴミ箱撤去 「リサイクルボックスへの異物混入」危惧も
東京地下鉄(東京メトロ)は、16日にこれまで設置していたゴミ箱を撤去した。17日始発からゴミ箱の利用はできなくなった。撤去理由について同社は「セキュリティー強化のため」としている。一方で、PETボトルの資源循環の動きへの認知が進んでいることもあり、利用者からは「自動販売機横のリサイクルボックスに異物が入ってしまうのでは」と危惧する声や「駅にゴミが置かれて、美観が損なわれるのが心配」などの声も上がっている。
日本食糧新聞社は全国のJR各社、公営交通事業者、私鉄27社にアンケートを実施、このうち25社から回答を得た。
このうち、東武鉄道や東京都交通局など3社は「撤去を検討している」と回答。東武鉄道は「時期は未定」としながらも撤去理由について「感染症予防の観点」などを挙げている。「ゴミ箱の撤去を既にしている」と回答したのは7社。東急電鉄は「04年に発生したスペインの列車爆破事件後、撤去している」と説明。また「一部を撤去済み」と回答したのは6社で、名古屋鉄道は「駅員無配置駅については撤去している」としている。一方「現段階で撤去予定はない」としているのはJR東日本、阪急電鉄など6社あった。
今回、東京メトロは「びん・かん」「新聞・雑誌」「その他」に区分していた3連のゴミ箱239セットを撤去した。理由として、大手町駅で不審物が複数回発見されたことを挙げ、セキュリティー強化の観点としている。ゴミ箱については、再設置の予定はない。また、自動販売機横に設置されているリサイクルボックスについては、撤去はせずこれまで通り利用できる。同社は「ゴミの持ち帰りに協力してもらいたい」と話している。
鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏は今回の撤去について「新型コロナによる、減収を受けた経費削減策ではないか」とした上で「これまで設置されていた『中身の見えるゴミ箱』は2005年に再設置された。一度、形の違うものに更新され、今回は更新の時期を迎え、コスト削減のための判断だろう。また、清掃を担当する(関連会社の)『メトロセルビス』の仕事量も中長期的には減少傾向になる可能性を考えると、社員数にも影響が出るだろう」と分析した。(渡辺正大)
アンケートに回答したのは次の事業者(順不同)
東京地下鉄(東京メトロ)、(JR)北海道旅客鉄道、東日本旅客鉄道、西日本旅客鉄道、四国旅客鉄道、九州旅客鉄道、(公営交通事業者)札幌市交通局、仙台市交通局、東京都交通局、名古屋市交通局、福岡市交通局、(私鉄)西武鉄道、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、東急電鉄、東武鉄道、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道、京阪電気鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道、大阪市高速電気軌道、西日本鉄道