アイルランド産シーフードの対日輸出額が増加 国が主導する食品サステナビリティプログラム「オリジングリーン」が価値を創造

オーガニックムール貝養殖事業は、国際的第三者認定機関から持続可能性の認証を受けている

オーガニックムール貝養殖事業は、国際的第三者認定機関から持続可能性の認証を受けている

アイルランド産シーフードの対日輸出額が増加している。現在アイルランド産シーフードの輸出は、毎年世界75ヵ国以上に向けられ、2022年の金額ベースではおよそ813億円に相当。うち対日は約27億円で、2021年に比べて6.8%アップしている。

大西洋の島国アイルランド周辺は、約500種類にのぼる海産物をもたらしてくれる恵みの海であり、高品質な肉質と適切な脂肪分を有する遠洋魚が漁獲できる。豊かな天然魚介類は「アイリッシュシーフード」と呼ばれ世界中に届けられており、日本市場ではアイルランド産のアジやサバが確固たる存在感を築いている。ほかにはオイスター、ムール貝、ツブ貝、ランゴスティーン(赤座エビ)、ブラウンクラブ(ヨーロッパイチョウガニ)といった珍しい甲殻類も注目され、レストランや高級ホテルでも取り扱われるようになってきた。

アイルランド産シーフード対日輸出額の推移(単位はユーロ)

アイルランドはアトランティックサーモンで世界初のオーガニック認証を得て、主要サプライヤーとしての地位を確立している。オーガニックムール貝養殖事業は、国際的第三者認定機関から持続可能性の認証を受けており、「オーガニックムール貝の持続的養殖」に成功した世界で有数の生産国でもある。

水産資源の持続可能性を担保するための施策にも積極的な姿勢をみせる。アイルランドでは、EUの厳しい食品安全基準を満たすことを最優先に掲げ、EU海域に設定される魚種ごとの商業漁獲枠を遵守するほか、国家的施策も実施。生産者たちを持続可能性の面からサポートする食品サステナビリティプログラム「オリジングリーン(Origin Green)」には、水産業界だけでなく、国内のほとんどの食品企業が参加している。

アイルランド政府食糧庁Bord Bia(ボード・ビア)によれば、「オリジングリーン」の憲章がSDGsの17の目標のうち9つの目標と関連があることを示しており、世界市場におけるアイルランド産食材の価値創造にもつながっているようだ。アイリッシュシーフードの安全・安心と安定的供給の保証こそが、日本での市場拡大の大きな鍵にもなりそうだ。

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