日清シスコ、シリアル高成長 第2次ブームの兆し

菓子 ニュース 2020.07.17 12083号 01面
「ごろっとグラノーラ チョコナッツ」

「ごろっとグラノーラ チョコナッツ」

豊留昭浩社長

豊留昭浩社長

日清シスコの豊留昭浩社長は、7月から同社主力の「ごろっとグラノーラ」の生産能力を5割増強したと本紙取材で明らかにした。長期保存が可能で、簡便性と栄養バランスに優れたシリアルの価値がウィズコロナの時代に消費者に再評価され、同社のシリアルの販売実績は現在も高い伸びを示しているという。豊留社長はこうした現状を、シリアル、特にグラノーラの第2次ブームの兆しが見えると分析。一方、市場全体では十分な供給量を確保できていない。豊留社長は「総合シリアルメーカーとして、市場成長の確かな兆しが見えるこの時期に、品質の高いシリアルを製造し、お届けするのはメーカーの使命」とした上で、増産によって商品を安定供給し「市場全体の総需要拡大」につなげるとの考えを示す。ラインの生産効率の改善に加え、数十人の人員を増員する。

豊留社長は4月の段階で、コロナ禍の消費状況を(1)巣づくり(2)巣ごもり(3)巣立ち(半巣ごもり)–の3段階でステージが変化すると予測。実際、2~3月の「巣づくり」の時期は「備蓄目的の買いだめ」が主で、その後、小売、卸、メーカーの努力で食品の購買に問題はないと消費者が気付いて以降は「現在必要な商品を買う」に変化しており、「ニューノーマル=新しい日常」下では、環境変化に適応できた商品が消費者に認められると指摘。

豊留社長はこうした状況を「適品生存」と表現し、従来の強いブランドが持つ、アドバンテージが軽減され、現在の「半巣ごもり」生活に適応した商品が評価されるとの考えを示す。さらに、コロナ禍であらゆる業種で従来の枠組みが劇的に変化する「ゲームチェンジ」が起こったと分析した上で、当然この動きは、シリアル市場にも及び、マーケット構造が変化すると予測。

在宅勤務がニューノーマル化し、食の家庭内需要増に比例し、シリアル需要も高い水準で推移。

こうした中、豊留社長は子どもからシニアまで幅広いユーザーを持つ「グラノーラ」は、第2次ブームの兆しが見えると分析。2010年代の第1次ブームでは食シーンは主に朝食で、単品大容量(約600~800g)を家族で食べる、すなわち量・価格志向だった。

一方、ウィズコロナの20年の傾向は、内容量は、中容量(約400g)で、複数のフレーバーを朝食に限らず、家族がそれぞれ、好みのフレーバーを好きな時間に食べるという品質・健康志向に変化。今後、この傾向はグラノーラの「ニューノーマル」になると指摘。中容量でごろっとした具が入り、6アイテムで展開する同社の「ごろっとグラノーラ」は、ウィズコロナにおける消費者が求めるニーズに「適応」し、市場水準を上回って推移。同社では今回の増産で、現在6アイテムの「ごろっとグラノーラ」に関し、昨年好評を得た季節限定品〈メープルナッツ〉を加え7アイテムに拡大する。(青柳英明)

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