胃心伝真=見知らぬ街
街への思いは個人的な思い込みによる傲慢(ごうまん)なものだ。酢漬けのキャベツが食べ放題だった「タカオカカレー」が閉店してから東京・神保町は、私にとっての神保町ではなくなった。それでも、田村書店がある、ランチョンがあると納得させていたが、田村書店のご主人が亡くなり、さらに、神保町は遠いものとなった▼コロナ禍が収束し、通常の取材活動に戻った。数年ぶりに訪問する得意先もあり、いつもの喫茶店で予習してからと店の前に立つと風化した閉店の紙が、常連客の店への感謝の言葉がにじむのは雨か涙