新型コロナ:日本統合医療学会が提言 自宅でセルフケア 抗炎症食など紹介
日本統合医療学会が8日に発表した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックへの提言」の中で、「一人一人が自宅で取りくめる統合医療によるセルフケア(第2報)」の一つとして、抗炎症食、日本食によるセルフケアを紹介している。
抗炎症食は、統合医療の先駆者であるアリゾナ大学のアンドリュー・ワイル医師が健康に役立つ食事として提唱したもので、慢性の炎症を抑制するだけではなく、心身に安定したエネルギー供給としてのビタミン、ミネラル、必須脂肪酸、食物繊維や植物性栄養素を供給するための食事となっている。
主要な食材として、(1)全粒穀物など消化に時間のかかる炭水化物(2)抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸の摂取源であるイワシ、アジ、サバなどの青身魚(3)動物性タンパク質よりも毒性が少なく良質な脂質を含む植物性タンパク質(豆類、大豆発酵食品)(4)ごまなどの種子類やナッツ類(5)いろどり豊かな新鮮な野菜と果物–からなっている。
いろどり豊かな野菜や果物は、抗炎症作用であるフィトケミカル(植物化学物質)を含む。ニンジンのオレンジ色素はβカロテンを含み、トマトの赤はリコピンなど。また、油に含まれる必須脂肪酸は炎症を促進させるオメガ6脂肪酸(大豆油やサラダ油、ごま油、コーン油、マーガリンなどの植物油)と、抗炎症作用のオメガ3脂肪酸(魚油に含まれるDHAやDPAやエゴマ油やアマニ油に含まれるαリノレン酸)がある。
日本食は、2013年にユネスコの無形文化財となった。日本食の特徴である多様で新鮮な食材、バランスがよく、簡単な食生活は抗炎症食の土台といえる。
毎日の食事の一汁三菜(主菜1品、副菜2品、味噌汁)はバランスよく6大栄養素がカバーでき、さらに発酵食品なども取ることができる。味噌・醤油・酢・納豆・漬物などの発酵食品は腸内細菌叢を整える。
また、季節の野菜、ミネラルを多く含むキノコや豆も取り入れることで副菜になる。炎症を促進するような食品の摂取量を減らすことが大切で、具体的には、加工されすぎた食品や消化が速い炭水化物、ファストフード、植物性マーガリンを含む植物性のショートニングの摂取を避けるようにすることを盛り込んでいる。
提言では、食事のほか運動、睡眠、メンタルケアなどについても紹介している。(藤村顕太朗)