忘れられぬ味(37)青森缶詰・宮永一之社長「香港の珍味、西安の餃子」

缶詰 連載 2000.11.10 8766号 2面

マルハ(株)勤務時代の三三年間名古屋、東京で営業を担当していました。その関係で出張する機会が多く、海外一五ヵ国、国内は県庁所在都市を含めて多くの都市を訪問しました。海外、国内とも初めて訪問の場合、得意先にその土地の特産品が食べられる料理店に招待されたり、また宿泊するホテルの紹介を受けたり、ブックガイドを参考にして、お酒の飲めない私は食に対しては貪欲で安くて美味い店を探して、今までいろいろ料理を食べてきました。

どの土地にも必ず忘れることができない美味しい料理がたくさんあることを経験しました。忘れられぬ味として、この数十年を振り返ると訪問回数の圧倒的に多い香港、中国で食べた二品目の料理が多く思い出される。

香港では、中華料理は有名で、店の大小に関係なくどの店でも広東、潮州料理、飲茶などのそれなりに美味しい料理が食べられる。訪問回数が増えるにつれ日本では食べられない珍しい料理が食べてみたくなり、相手に希望したところ、香港島にある某ホテルのレストランに案内された。

そこで出されたのが一品目の「パパイヤの鱶鰭スープ」である。上部を切り落とし中の種を全部取りだし果肉のついたままのパパイヤを容器がわりにして、その中に鱶鰭スープが入れてあり、食べかたは自由で、私は最初にスープを飲み、その後に温まったパパイヤの果肉を食べました。今まで一度も食べたことがない大変珍しくて、美味しい料理で、印象に残った食べ物でした。

次に中国では多くの都市を訪問し、いろいろな料理を食べました。その中で西安市の「徳発長酒店の餃子」が二品目です。私は中華料理の中で一番好きな食べ物は餃子です。日本でも各地を訪問した時によく食べるのが焼餃子です。中国では東北地方の人は日本と違い焼餃子より水餃子を好んで食べるようです。その店が出す餃子の種類は三〇種類以上もあり、各テーブルごとに各種一個ずつ魚、鳥、花など、いろいろの形と味の違うものを注文して食べられる仕組みで、最後に真珠の大きさのスープ餃子が出される。日本と比べて種類も多く餃子好きの私には充分満足できた大変おいし料理でした。機会があればこの二品目はぜひもう一度食べてみたい料理である。

(青森缶詰(株)社長)

日本食糧新聞の第8766号(2000年11月10日付)の紙面

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