コロナ第4波、キッチンカー支援に脚光 Mellow・ハウス食品、開業後も手厚く

外食 ニュース 2021.04.28 12221号 01面
Mellowは東京都世田谷区と連携協定を締結、3月15日から区立公園や区営住宅などでキッチンカーの移動販売出店を開始

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ハウス食品グループ本社は駐車場予約アプリを運営するakippaと業務提携。初台パソコン教室駐車場で「スペインクラブ」が出店

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 コロナ第4波の襲来で外食の自粛ムードが再燃する一方、キッチンカーで飲食店を支援するベンチャー事業者が熱気を帯びている。キッチンカーの開業支援と開業後のサポートを手掛けるMellowでは、登録店舗数が昨年12月に1000店舗を突破(前年同月比1.4倍)した。またハウス食品グループ本社は3月、キッチンカー・販売スポット・仕込み場所をワンストップで貸し出す新事業を開始した。(千葉哲幸)

 キッチンカーの注目株はベンチャー企業のMellow。2016年2月に設立、20年12月に登録店舗数が1000店を突破し、前年同月比で1.4倍となっている。3月末には登録店舗数が1100店、出店場所は390台を超えている。

 当初はキッチンカー事業者にITシステムを提供することを目的としていたが、各事業者のオペレーションが異なることから限界を感じた。そこで「キッチンカー事業者の悩みや課題」に対しヒアリングを重ねた。結果「出店する場所が少ない」ことが分かり、打開策として不動産デベロッパーとの連携を模索し、徐々に場所が増え始めた。

 そして「キッチンカー事業者支援」というスタンスが構築され、「しっかりとした車を届ける」という発想が生まれた。トヨタグループと業務提携してMellow仕様のキッチンカーを開発するとともにリース事業にも乗り出した。さらに「キッチンカーの開業支援、開業後のサポートを行うキッチンカーのパートナー」を掲げ、売上げアップのノウハウをセミナーや個別コンサルティングで継続的に伝えている。

 1月以降、同社がリリースした記事は、「駐車場予約のakippaと提携」「東京建物グループ管理のマンションに本格導入」「山口県の移動型アンテナショップが稼働」「東京都世田谷区と連携」「福岡市中央区と親不孝通りエリアまちづくり協議会と連携」「住友生命と業務提携」など、不動産や地域の付加価値対策や飲食以外のサービス業へ広がっている。

 ハウス食品グループ本社は3月、キッチンカーのプラットフォーマーに参入することを発表した。キッチンカーや販売場所、メニューの仕込み場所を用意し、希望する飲食店に一式を貸し出すワンストップサービス。同社は借り主の飲食店からキッチンカーの売上げの25%+5000円または35%+5000円を受け取り、出店場所を提供する不動産オーナーは同社から8%を得る仕組みだ。

 同社は飲食店の倒産件数が増えてきた17年ごろから、「飲食業界の活性化に貢献する事業を育てる」を掲げて新事業に取り組み、19年2月から1ヵ月間実験、同年9月から今年2月までの1年半にわたりフィージビリティスタディ(実行可能性調査)を行った。3月からキッチンカー6台が都内23区の6ヵ所で営業し10事業者が導入済み。22年3月には稼働台数を15台に拡張し、同社月商500万円を目指している。

 キッチンカーの「移動して顧客の近くに赴く」という機動力は、顧客満足の潜在需要を開拓し、飲食店の効率的な事業モデルとして定着していきそうだ。

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