ハンバーガー市場がDXで活況 コスト減・高価値創造を
ハンバーガー市場がDX(デジタルトランスフォーメーション)で活況を呈している。その傾向としてフードテックを活用し、完全キャッシュレスなどによって従業員の負荷を減少しコストダウンを図り、高い価値を創造していること。これらの象徴は「BLUE STAR BURGER」と「BEX BURGER」でグルメバーガーに近いクオリティーの商品をポピュラープライスで提供、フランチャイズ(FC)によって大量出店を目指している。一方で、単品価格1500円当たりの高級バーガーの登場も相次ぎ、著しく多様化してきている。(千葉哲幸)
ハンバーガー市場の新しい動向は昨年11月10日、ダイニングイノベーション傘下のブルースターバーガージャパン(本社=東京都渋谷区、代表=西山泰生)が東京・中目黒にテークアウト専門の「BLUE STAR BURGER」をオープンしたことに始まる。同店はDXを随所に活用。「これによって浮いたコストでお客さまに安くて良いものを提供する」(ダイニングイノベーション西山知義創業者)というスタンスだ。商品は最もシンプルな「Jr.ハンバーガー」187円(税込み)にはじまり、パティの枚数、チーズ、野菜の組み合わせに加えて、3種類のセットから選べるようになっている。例えば「ブルースター不動の人気ナンバーワン」とアピールしている「2×2ブルースターチーズバーガーセット」は799円(同)。この5月10日からFCマッチングプラットホームを導入し、FC加盟店の募集を開始。現在、加盟希望が250社に達している。
GYRO HOLDINGS傘下のsubLime(本社=東京都新宿区、代表=奈良正徳)は5月15日、東京・吉祥寺にテークアウト専門の「BEX BURGER」をオープン。バンズは同社グループの製品を使用して高いクオリティーを保ちながらコストダウンを図り、OEM使用に対して優位性を誇る。人気上位の商品は「ベックスチーズバーガー」389円(税込み)、ポテトとドリンクとのセットで713円。24時間営業でハンバーガーの販売個数は平日800~1000個、週末1000個以上となっている。今後、ロードサイド、フードコート、路面店などあらゆる立地に挑戦。6月からFC加盟店の募集を開始し、基礎工事が不要のコンテナ型店舗や調理ロボットを開発中。3年後に100店舗、10年間で1000店舗体制を想定する。
高級焼肉チェーンを展開する平城苑(本社=東京都足立区、代表取締役社長=鏑木順之)では、4月10日に和牛ハンバーガーの専門店「Wagyu Burger」をオープン。同社は和牛一頭買いを行い年間500頭ほど使用。この中で、すね肉やネックといった焼肉では商品化しにくい部位があり、これまでは店舗で煮込みやスープをつくったり、同業他社に販売するなどしていたが、同社ですべて使い切ろうと考えて、これらの肉を使用したハンバーガーを生み出した。スタンダードな商品は「THE和牛バーガー」単品1430円(税込み)、セット1870円(同)。これらに、チーズ、チリコン、テリヤキのバラエティーがある。新設の商業施設から出店のオファーがあり、店舗展開を検討していく。
「ドムドム」を27店舗展開するドムドムフードサービス(本社=神奈川県厚木市、代表=藤崎忍)では8月2日、東京・新橋に高級バーガーを取り揃えた「TREE&TREE’s」をオープン。営業時間帯をモーニング、ランチ、ディナーと分けて、ランチとディナーで提供するハンバーガーは「和牛バーガー」がメーン。これを「塩」「醤油」「山葵」「紫蘇」などのバリエーションで1350~1690円(税込み)で提供する。100%和牛のパティは、店内で手切りして注文を受けてから焼成する。このたび新橋に開業した背景には、2019年9月に和牛バーガーのポップアップを行い好評だったため10月にも行ったという実績があった。そして、グループ会社が新橋にビルを構えることになり、その1階、地下1階にリアル店舗を出店した。店舗の仕組みの改善を慎重に行いFC展開につなげていきたい意向だ。