きな粉市場が拡大 飲料・菓子などバリエーションが増え底上げ

多彩な商品の登場が市場好調の要因の一つになっている

多彩な商品の登場が市場好調の要因の一つになっている

きな粉市場が好調だ。健康に良い食材としてTVなどのメディアで取り上げられた影響もあり、市場は拡大傾向にある。昨年が前年比20~30%増、今年も一昨年比で15~20%増といったメーカーが多い。ベーシックなものから他の素材と混ぜた調整品、微粉タイプなど、商品のバリエーションが増えているのも市場底上げの要因の一つになっている。

高タンパクを強調した新商品も登場

業務用・家庭用いずれも伸びており、スーパーでは売場の棚が増えたりコーナー化されるなど、全般的に露出が増加。消費者にとって、きな粉がより身近な存在になっている。

もともと高齢者層にユーザーが多いきな粉だが、近年はメディアの影響から若年層を中心に話題を集めている。食卓での出現頻度も上がり、きな粉の喫食目的として「好物だから」という消費者も増えている。

きな粉の需要が高まる中で、業務用ではさまざまな飲料や菓子に混ぜる用途が増え、混ぜやすい微粉タイプが求められる傾向にある。家庭用では、もち麦やアーモンドといった他の素材を混ぜた商品やボトルタイプのきな粉も登場。商品のバリエーションが増えているのも、市場拡大に貢献している。

多彩な商品の登場が市場好調の要因の一つになっている

また、近年の筋肉ブームを受け、きな粉に筋肉を構成するタンパク質が多く含まれることから、高タンパクを強調した新商品も登場している。

売場の棚が増える一方、商品が置かれる乾物コーナーは若年層が足を運ぶ機会が少なく、店頭で見つけられないなどの問題もある。ターゲットとしては若年層に限らず、幅広い年齢層に食べてもらうのが課題といえる。拡大した売場の棚を維持するためにも、メーカーは消費者に手に取ってもらえるような新しい商品を継続して発売することが重要だろう。

原料事情は、北海道産黄大豆の価格が年明けに出るが、出来自体は悪くないという。一方、丹波黒大豆は年々作り手が減っている。青大豆も国産は生産量が少ない。大豆は全国に産地があり、台風19号による被害を受けた地域もある。

昨年のTV報道を端緒にしたきな粉ブームだが、息の長い人気を継続することが課題といえる。

業界団体の全国きな粉工業会は、女子栄養大学と連携して、きな粉の普及啓発活動に取り組んでいる。「毎日スプーン1杯のきな粉生活」を推奨して、きな粉ドリンクのほか、きな粉を使った料理レシピを開発。きな粉に含まれる脂肪分が、料理にコクと香りを加えるという。きな粉を日常的に使ってもらうためにも、今後の料理用途の浸透に期待したい。

※日本食糧新聞の2019年11月18日号の「きな粉特集」から一部抜粋しました。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

書籍紹介