日本酒の魅力を訪日客に発信へ酒蔵見学の英語対応を強化
日本酒業界が酒蔵を英語で案内する取組みに力を入れているが、インバウンド(訪日外国人)の増加が続く中、専門知識を備え英語で案内できる人材が不足している。業界団体の日本酒造組合中央会はこのほど、プロの通訳案内士を対象に酒蔵での実地研修を初めて開催。今後は研修エリアをさらに広げ、インバウンドの受け入れ体制を強化する。
東京2020大会まで半年を切り、インバウンドのさらなる増加が見込まれる。だが、英語が話せる酒蔵のスタッフは少ないのが現状。報酬を得てガイドする通訳案内士も酒蔵や日本酒に対する理解が足りず、日本酒の魅力を正しく伝えられる人材が不足していることが業界全体の課題となっている。
中央会は3年前から酒蔵ガイド研修を始め、計約400人の通訳案内士に日本酒の知識を提供してきた。学んだ知識を実践で生かせるようにするため、これまでの履修者10人を対象に神奈川県の泉橋酒造で実践形式のガイド研修を1月28日に初めて開催した。これを皮切りに今後は地方での研修も予定する。

泉橋酒造の研修会では専門家のジャスティン・ポッツ氏を講師に迎え、インバウンド向けのガイドについて要点などを説明した。
参加者は蔵について座学で説明を受けた後、田んぼや蔵を見学。最後には、参加者自ら英語で酒蔵を案内する模擬練習を行った。
当日は短時間の研修だったにもかかわらず、参加者は蔵の特徴や酒造りの工程などを流ちょうに英語で説明していた。講師のポッツ氏はインバウンドに対し英語でガイドする際の注意点を解説。日本酒を「ライスワイン」という表現で説明するか否かといった点などについては、各蔵で考えが異なるため、事前に酒蔵とガイドの間で相談し、伝えるべき情報を整理しておくことが重要だと説明した。