日本食糧新聞社、“パーフェクトマッチ・キャンペーン”第2回協賛Webセミナー開催

左から多田俊哉日本オリーブオイルソムリエ協会理事長、小林恵駐日欧州連合代表部通商部調査役、前田宏和メルシャン営業本部マーケティング部長

左から多田俊哉日本オリーブオイルソムリエ協会理事長、小林恵駐日欧州連合代表部通商部調査役、前田宏和メルシャン営業本部マーケティング部長

日本食糧新聞社は7月28日、東京・八丁堀「食の情報館」で“パーフェクトマッチ・キャンペーン”との協賛で、オンラインセミナーを行った。第2回となる今回はテーマに「ヨーロッパのオリーブオイルとワインの魅力を伝えるPerfect Match!/日本市場の価値と今後の展開」と掲げ、昨今、健康オイルとして注目されるオリーブオイルや日本食と欧州ワインのマッチングについて日本の消費者にとってなじみ深い“ヨーロッパ産”の価値を解説。欧州食材の取り扱いに興味を持つメーカーや外食関係者、業務用食材を扱うメーカー担当者らが傾聴した。

セミナーの冒頭、駐日欧州連合代表部通商部調査役の小林恵氏が「欧州の食品や飲料が日本の調理法や和の食材にも調和するものだという視点から提案。EUと日本は食に関して似た価値観を有しており、双方ともに長い食文化の伝統を持ち、品質や安全性に関し高い要求レベルがある。オリーブオイル、ワインともにEU独自の規制があり、日本の消費者の高い要求にも応えられる」とし、欧州の食品や飲料がより日本人の身近になるような施策や発信を今後も続け、支援していくと述べた。

講演1では、日本最大のオリーブオイル専門家が所属する民間団体、日本オリーブオイルソムリエ協会の多田俊哉理事長が、EU産オリーブオイルの個性あふれる品質や、オリーブオイルソムリエの視点から見る評価ポイント、日本市場での将来性について講演。多様な食材と接する機会が多い日本人は食材選びにもこだわり、さらに安全・安心の追求に加えて、昨今のコロナ禍によるステイホームでの調理人口の増加といった消費スタイルの変化により、オリーブオイルの利用が拡大している。また“健康オイル”として名高いオリーブオイルは健康志向の消費者に好まれ、「油」の摂取方法の見直しにもつながっているという。

多様な土壌や気候、文化が生み出すEUのオリーブオイルにも、ワインでよく耳にする自然環境要因「テロワール」が存在し、EU9ヵ国・1000以上の品種があるという。「地域性による個性的な味の違いを食用油としてだけでなく、調味料として楽しむことも大切だ」と多田氏は語る。さらに「原産地呼称保護(PDO)や地理的表示保護(PGI)マークが記載されているEUのオリーブオイルを見極めて、その地域性や特徴に思いをはせると同時に、トレーサビリティーが保証されているということをしっかり確認してもらいたい」と続けた。

同協会が養成するオリーブオイルソムリエの視点から見るオリーブオイルの評価ポイントには、アロマの強度や種別、複雑味や持続性といった多様な評価軸が用いられており、食べ合わせや食材とのマッチングを提案し、その魅力をアピールしている。

すでに食用油市場では売上額が420億円とトップの座に着くオリーブオイルは、EU食材と日本の食材をマッチさせるための潤滑油にもなり得ることからさらに一般消費者に浸透させ、EU産オリーブオイルの多様性をプロが積極的に取り入れることで日本市場での継続的拡大が可能になるだろうと語った。

続く講演2は、メルシャン営業本部マーケティング部の前田宏和部長が登壇。欧州産ワインの魅力と普及させるための課題、アフターコロナの新しい暮らしの中でのワインの位置付けなどについて講演した。日本のワイン消費数量は、平成30年間で3倍以上となり、令和の時代にはワインが日常に定着すると予測。18年のスティルワイン輸入量は、フランス・イタリア・スペインなどを含めた欧州産が全体の6割を占めており、さらに19年には日欧EPA発効による関税即時撤廃の影響でスパークリングワイン輸入量が大幅に増加、輸入数量合計が前年比21.3%増と大幅に伸長した。

欧州産ワインの魅力は、(1)長い歴史や伝統の観点から知的欲求をくすぐる飲み物であり(2)作り手のこだわりや物語性を知り得ることができ(3)スティルワインやスパークリングワイン、昨今話題のオレンジワインなどあらゆるワインを日本で楽しめる多様性(4)そして欧州地域の食とともにワインが存在する–という四つの点であり、チリワインなどの“新世界ワイン”とは明確に異なる。「飲み手を旅に連れて行ってくれるワインこそ欧州産のそれであり、仲間と魅力をシェアできる飲み物だ」と前田氏は熱弁を振るう。

一方で普及させるための課題も提示した。流通では値頃感のある低価格帯を推すため、欧州産ワインの魅力が消費者に伝わり切れていない、既存のワイン愛好家が購買層のため新規顧客を獲得できない、欧州産ワインの選択肢が分からない、といった点である。欧州産ワインを普及させるためには、特に20~30代の若年層が抱えるワイン選びの選択基準を提供することが必須だと述べた。

アフターコロナの新しい暮らしの中で、消費者の意識は確実に変化している。健康意識の高まりと同時に人とのつながりを実感する機会が生まれ、地球環境や社会に配慮するエシカル消費の意識が高まっている。こうしたことから“オーガニック”も需要な選択肢の一つとなり、すでに欧州を中心に世界のトップワイナリーも積極的にオーガニックワイン造りに転換していることから、今後日本でもオーガニックワインの輸入が一層伸長するだろうと予測した。(貞苅江梨子)

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