生活防衛・コロナ共存が成長の鍵握る 20年下期・食品カテゴリー別動向

総合 ニュース 2020.07.13 12080号 01面
免疫機能の向上が期待され、需要が急増した納豆。下期に向けても、大幅な伸長が見込まれる

免疫機能の向上が期待され、需要が急増した納豆。下期に向けても、大幅な伸長が見込まれる

RTDは家飲み需要の拡大に加え、リモート飲み会など新たな飲用シーンの登場で成長に拍車をかけた

RTDは家飲み需要の拡大に加え、リモート飲み会など新たな飲用シーンの登場で成長に拍車をかけた

 新型コロナの影響で未曽有の変化に揺さぶられた2020年。折り返しの7月に入り、下半期の食品カテゴリー別動向はどうなるか–。GDPが2期連続マイナスになるなど景気は後退局面とされ、雇用悪化や所得減少を背景に生活者の節約志向が一層強まることが必至だ。経済性の強い食品のニーズが顕著に拡大すると想定される一方、コロナ共存の生活下で免疫力向上や健康維持に特化したカテゴリーは高価格帯でも好調が続く見通し。在宅時間の長期化が生み出した新たな消費傾向へ対応を強化することで、市場の活性化も期待できる。下期は「生活防衛」「コロナ共存」を満たすカテゴリーが、食品市場で強さを発揮しそうだ。=関連記事9~19面(篠田博一)

 ●経済性・免疫力 さらに高まる需要

 上期1~6月を振り返ると、新型コロナの感染拡大防止へ向けた政府の緊急事態宣言発令や休校、飲食店の休業要請など、食品業界の構造へ変化を迫る多大なインパクトが相次いだ。外出自粛や在宅勤務の拡大による「巣ごもり消費」の急増でSMに客が殺到した一方、外食産業は深刻な経営不振に陥り、回復のめどが立たない状況が続く。

 そうした一連の流れは、家庭用加工食品の売れ筋にも大きな変化をもたらした。当初は即席麺やコメ、パスタなど備蓄型商品の需要が急増したが、外出自粛などで家庭内滞在時間が増加するにつれ、あらゆる加工食品を購入する傾向が顕在化。従来の主流だった時短・簡便の逆を行く手作り需要の増加で製菓材料や小麦粉、バターなどが売れたり、朝食を規則的に取る習慣の定着でシリアルなどの需要が急増した。

 免疫機能の向上が期待される納豆やキムチ、ヨーグルト、乳酸菌飲料なども店頭で欠品を起こすほど動いたほか、オンライン飲み会の浸透でRTDやクラフトビールの需要が増加。平時では見られなかった新たな消費の動きが相次いだ。

 コロナ影響が直撃した4~6月のGDPは戦後最悪の成長率になるとみられ、失業率の増加や雇用情勢の悪化、大手企業が冬期ボーナスの支給中止を公表するなど、下半期に向けてネガティブな要素が相次ぐ。生活必需品の食品は不況下でも一定の強さを発揮するとみられるが、より低価格な商材へ消費ニーズが集中していくと想定される。

 そうした中、本紙は下半期(7~12月)に前年比7%増以上の高成長が期待されるカテゴリーを、つゆ、メニュー用調味料、納豆、豆乳、RTDの5業種と予測。経済性の高さや免疫力、健康などの特性を有し、RTDに関しては10月の酒税率改正がさらに拡大の追い風となる見込みだ。

 ここへきて連日100人超の感染者が判明するなど、コロナ共存社会は終わりの見えない様相を呈している。

 健康増進や免疫機能向上、朝食、手作り、リモート飲み会といった新たな消費シーンへいかに効果的対応を図るかが、下期の業界成長を左右する重要キーワードになりそうだ。

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