食品値上げ、110業種超に拡大 ウクライナ問題でコスト悪化に拍車

総合 ニュース 2022.04.04 12382号 01面

 食品値上げの動きが一段と加速している。昨春に食用油や小麦粉など主原料系で始まった価格改定は業界全体へ波及し、1日現在、本紙調べで110を超える業種へ拡大。ウクライナ問題の発生で穀物原料や燃油価格の悪化に拍車がかかり、値上げの拡大が消費や競争環境へ及ぼす影響が懸念される局面だ。他の消費財や生活インフラも一斉に物価上昇へ向かう中、食品界は適正な価格転嫁で健全成長へ道筋を開けるか、売上げ防衛の値下げ競争に陥り疲弊構造を強めるのか。正念場を迎えている。(篠田博一)

 ●適正価格転嫁へ業界正念場

 昨年12月までに値上げした食品は油脂や小麦・大豆製品を筆頭に80業種を超えて、年明けには即席麺や乳製品などの大型カテゴリーも合流。直近でもスパイスやソース、昆布製品が6月からの価格改定を発表し、近くアイスクリーム市場や和日配業界も値上げへ動くとみられる。

 折からの世界的なインフレ圧力にウクライナ問題が追い打ちとなり、穀物相場や燃油価格の先行きは悪化する一方だ。3月に発表された輸入小麦の政府売渡価格は3期連続の引き上げとなり、1日から前回比17.3%増の大幅高値で取引が始まった。

 すでに食用油やマヨネーズなど複数回値上げした市場もあるが、「小麦関連製品も年内に再値上げ、再々値上げを行う可能性も出てきた」(業界筋)との見方も強まっている。小麦原料は麺類や菓子・パンなど多くの加工食品が使用するため、値上げ影響は市場の広範囲に及びそうだ。

 足元で懸念されるのが、相次ぐ食品値上げが消費に及ぼす影響だ。現状ではコロナ特需の反動による売上げ減が発生したり、テレワークの浸透で冷食市場が拡大するといった動きもあり「値上げの影響がどこまで出ているかつかみにくい」(大手卸)ようだが、4月から食品以外の生活必需品や光熱費、交通料金などの値上げも本格化。一方で所得環境の改善が容易に進まず、安さを求める消費傾向が一段と強まる可能性もある。

 ここへきて有力小売チェーンのPB価格凍結施策が拡大し、外食チェーンも「史上最大の値下げ」を打ち出すなど、値上げ商品との価格差を訴求する動きも顕在化。これらのデフレ圧力がサプライチェーンの価格競争を激化させ、利益放出構造を誘引する懸念も浮上してきた。

 今後もウクライナ影響などでコスト改善の見通しが立たない中、利益を削った値下げ競争に突き進めば「業界の疲弊が極度に進み、粗悪品が横行する市場にもなりかねない」(卸首脳)と警鐘を鳴らす向きもある。食品界が安全・安心な品質を伴う商品供給責任を果たし、事業活動の継続を図るためにも、適正な価格転嫁が不可欠な局面だ。製配販3層が歩調を合わせ、適正価格の実現へ取り組むスタンスが求められる。

●今春の主な食品値上げ一覧(表)
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