コロナ禍の関西ホテル業界は今 差別化と集客に奔走

外食 ニュース 2020.07.31 12090号 03面
ザ・サウザンド キョウトでは、「ペリエ ジュエ」のシャンパーニュをフリーフローで楽しめる

ザ・サウザンド キョウトでは、「ペリエ ジュエ」のシャンパーニュをフリーフローで楽しめる

ホテル エルシエント大阪は朝食にも大阪らしさを出した

ホテル エルシエント大阪は朝食にも大阪らしさを出した

ホテルプラザオーサカは人気ビュッフェを再開

ホテルプラザオーサカは人気ビュッフェを再開

宿泊者だけが楽しめるリーガグラン京都のお重箱朝食「京の四季彩箱」はお値打ち

宿泊者だけが楽しめるリーガグラン京都のお重箱朝食「京の四季彩箱」はお値打ち

 インバウンド景気に沸いたここ数年から一変、20年は早々にコロナ禍によってインバウンドが見込めない状況に陥った。一方で、本来ならば今年開催される予定のオリンピック特需に向けて、関西でも多数のホテルが続々とオープン。加えて、ホテルの花形イベントといえビュッフェは、衛生対策を整えて徐々に再開している。国内からいかに利用者を呼び込むかを鍵とし、新たなブランドコンセプトや魅力的なサービスで差別化と集客を図ろうと奔走する、大阪と京都のホテル4件を紹介する。(篠原里枝、深瀬雅代)

 ●ザ・サウザンド キョウト

 京阪グループのフラッグシップホテルとして19年1月にオープンしたザ・サウザンド キョウトは館内の随所に芸術作品が展示され、上質なホテルライフを楽しめる。昨年の宿泊者の75%がインバウンドという同ホテルは、アフターコロナに向けた特別企画「シャンパーニュナイト」を7月10日から9月26日まで、土・金曜日限定で開催。感度の高い人々に上質なひとときを提供する。

 同イベントは昨年2日間だけ開催し、国内外の利用者から高い評価を得ており、今年は「おとなの縁日」をテーマに屋台をイメージした特別メニューを提供。フリーフロープランにはフランスの老舗メゾン「ペリエ ジュエ」のシャンパーニュも含むほか、「菜園」と名付けた華やかなアペタイザーを、晴天時は緑に囲まれたテラスで楽しめる。線香花火をモチーフにしたチョコレートのスーベニア付きで、税・サービス別9500円。

 また隣接する系列店、京都センチュリーホテルでは7月からビュッフェを再開。厳重な衛生管理の下、地元客にも人気の高い美食の数々を再び味わえる。

 ●ホテル エルシエント大阪

 8月1日に大阪市北区にオープンする同ホテルは「泊まればもっと、その『まち』が好きになる」をコンセプトに、大阪らしい食の提供はもちろん、上方落語や能楽堂のワークショップ、さらに夜のバータイムにはドラァグクイーンによる接客など“歴史・文化・食・人の魅力”を訴求する多彩なサービスで差別化を図る。ビジネスやレジャーを目的に大阪へ訪れた人に、プラスアルファの体験を提供する。

 ゲストラウンジでは、朝食にたこ焼きや串揚げなどの大阪名物を提供して、宿泊者に大阪らしさを伝える。また、飲食店が多く軒を連ねる立地を生かして地域飲食店との連携も行い、デリバリーした商品を客室のみならずゲストラウンジでも飲食できるようにした。今後は地域の夏祭りやイベントにも協力したいとしている。

 ●ホテルプラザオーサカ

 1986年創業の同ホテルは例年4月から実施する人気ビュッフェ「生ビール&ビーフステーキフェア」を、今年は6月から8月末まで開催する。通常なら130席を今年は50席に減らし、ソーシャルディスタンスを促すテーブルには分かりやすくプレートと花を飾る。客はビュッフェの料理を取る前には、各テーブルに配置される使い捨て手袋と消毒液を使用する。料理にはすべてカバーが掛かっており、ドレッシングなど調味料はすべて小袋で対応した。ドアを開け、サーキュレーターでも換気する。

 万全の衛生管理を施した同ビュッフェは、生ビールを例年より多い5種類で展開。セルフカクテルコーナーも充実させた。メニューの目玉はシェフが焼き上げる自家製熟成肉のビーフステーキで、焼き加減やソースを好みに合わせて仕上げてもらえる。和洋中の豊富なメニューが揃い、家族連れでもしっかりと食を楽しめる。デザートコーナーではケーキや果物が並ぶほか、客自らオリジナルパフェを作ることが可能。税込みフリーフロー大人4500円、小中学生2000円で時間無制限で提供する。

 ●リーガグラン京都

 ロイヤルホテルは、8年ぶりの新ホテル「リーガグラン京都」を15日に開業した。「趣~Omomuki~京都、リーガの宿」がコンセプトの同社初の宿泊特化型タイプには京都出身・在住のアーティストによる作品、専用に作曲された館内音楽が流れるなど五感で楽しむ京都“京遊”がちりばめられている。

 宿泊特化型だが京都産食材にこだわる食意識も高く、「KOTONA」で宿泊者だけが楽しめるお重箱朝食「京の四季彩箱」は2300円(税・サービス込み)とは思えぬ充実した内容だ。京風油揚げとおからのあぶり焼き、コンソメと煮た合鴨と京餅麩などひと口サイズでかわいらしい12種類の冷菜おばんざいが敷き詰められた三段重をメーンに、魚と西京味噌のグラチネなどの温製料理、八代目儀兵衛が目利きしたご飯と西利の漬物、デザートや飲み物などが振る舞われる。夜にはバー・ラウンジとなり、丹山酒造の日本酒中心のアルコールや京都食材の缶詰のほか、一品料理も楽しめる。京都観光の拠点に最適な京都駅八条東口から徒歩3分の好立地隠れ宿として、20~40代のオトナ女性の支持が得られそうだ。

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