新型コロナ:加工わさび、業務用で影響甚大 新基軸検討も早急な効果見込めず

調味料 ニュース 2020.05.18 12052号 01面

加工わさびの業務用分野はスーパーや中食、回転寿司チェーンなどの小袋を除くと、外食産業やホテル・旅館などを中心に堅調な推移を続けてきた。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発出とその延長は、小袋以外の業務用分野にこれまでにない影響を与えつつある。

家庭用の加工わさびは大容量のチューブタイプの拡大や巣ごもり需要の増加を受けて、3月以降も軒並み数字を伸ばしている。一方で業務用は新型コロナウイルスの影響を如実に受けている。2月は前年同月比でほぼ前年並みとするメーカーが多かったが、3月以降から減少幅が広がり、4月は同50%減以上とするメーカーは複数となった。さらに5月の見込みについても、4月以上に落ち込むとするメーカーが大多数を占めている。

これまで加工わさびの業務用は、需要が伸び悩む国内から海外への輸出に注力することで業績を維持・拡大してきた。しかしながら今回の新型コロナウイルスの影響は地球規模で拡大している。このため、加工わさびの輸出も4月以降は中国や東南アジアなどで回復の兆しがあるものの、大幅に落ち込んでおり打開策は見えてこない。このような状況下で、業務用を中心とする専業メーカーは惣菜や介護・高齢者向け、宅配・通販など新たな業種、業態へのアプローチを進めるとともに、これらの業種、業態に適合した新商品開発に着手している。しかし、これらの企業努力が実を結ぶには相当な時間を要する。今後、国内感染者数の減少が続けば、自粛状態が徐々に緩和される可能性も考えられるが、加工わさびにとって主力となる居酒屋など飲酒を伴う外食産業やホテル・旅館といった業態が従来通りの営業活動を行うには、かなりの時間を要することが必至だ。

加工わさびの専業メーカーからは事業継続や雇用維持などのため、メーカーだけでなく飲食業界やホテル・旅館業界を含めた雇用調整助成金の限度額拡大など各種助成金の一層の拡大や補助金の追加検討を求める声が強まっている。(高木義徳)

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