CVS・SM、冷食の中食化加速でインフラ強化 専門店品質商品拡充も
コンビニエンスストア(CVS)や食品スーパー(SM)が冷凍食品の中食化をさらに加速している。セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は中食を製造するデイリーメーカーによる冷食工場を増やし、インフラを強化する。SMでも各社が冷食売場を広げている中、東武ストアがロック・フィールドの新ブランドの冷食商品を導入し、保存食でなく専門店品質の商品を揃えた。(山本仁)
セブンイレブンはセブン&アイグループのPB(自主企画)「セブンプレミアム」で冷食を展開し、現在も販売は2桁の伸長を示しているという。大手メーカーとは別にデイリーメーカーによる冷食工場の設備を整え、商品化の幅を広げ、差別化を図るためインフラの強化に着手している。すでに1工場目が稼働し、中食の技術を生かしたパスタの冷食が好調に推移している。SEJの青山誠一取締役商品本部長は「来月、もう2工場目が群馬県で稼働を開始する。うどんなど和風の麺類から生産を始め、本格製造に向けた最終調整をしているところ。3工場目は販売状況を確認して、どこかのタイミングで決断する。ほぼ計画通りに進んでいる」と17日の秋冬商品説明会で手応えを示す。
東武ストアが17日に開店した「晴海三丁目店」(東京都中央区)は中食強化型の店として惣菜だけでなく、冷凍食品もその一環として強化した。冷食の品揃えもデパ地下などで惣菜専門店「RF1(アール・エフ・ワン)」などを展開するロック・フィールドの冷食の新ブランド「RFFF(ルフフフ)」のグラタンなど洋食メニューをはじめ、東武グループの連携による「東武百貨店池袋店セレクト名店監修グルメ」「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」といった本格的な専門店やレストランの味を冷食で楽しめるよう提案した。家庭で調理するのが難しい商品は高単価でも売れるという。
冷食強化の動きはイオンリテールが今年8月に冷食専門の新業態を開店するなど売場の拡大だけでなく業態開発にも及ぶ。従来の保存性だけでなく、本格的なメニューで品揃えの幅が広がり、消費者の支持を得ている。
ただ懸念材料して、あるSMの経営トップからは「電気代が高いのが大変」との声も聞く。電気料金が高止まりしているだけに、増やした冷凍ケースや什器など売場の維持費が重い。