低価格時代の外食・飲食店 回転寿司チェーン「元気寿司」直営で全国制覇狙う
元気寿司は昭和43年、「元禄寿司」のFC店でスタートし、このあと栃木県下のエリアフランチャイザーとしてサブチェーン化を進め、五〇店近くを展開する有力企業という存在であった。
しかし、平成2年に現社名に変更して独立し、強力なライバルチェーンとして歩みだした。店舗展開は直営方式で、同一資本による経営の強みを発揮している。
平成5年度店舗数八〇店、売上高九七億六〇〇〇万円、同6年度九四店、一一〇億円、同7年度一〇一店、一三〇億円、同8年度一一八店、一四五億円。出店、売上げともに平禄寿司と拮抗してきており、平禄がもたつけばここ一、二年で抜き去る様相をみせている。
年間一〇店以上のペース。現在のところは本拠地の栃木県内での出店が主体になっているが、しかし出店エリアは全国展開に向かって広がってきており、今年3月期の実績では栃木三三店、福島一八店、茨城一四店、埼玉一三店、北海道一一店、群馬八店、新潟八店、長野六店、千葉四店、ほか三店など計一一八店と、出店数、エリアともに拡大の途をたどっている。
ビッグマーケットの東京は激戦区であるので、三年前に一店舗(練馬・光が丘店)を出店したのにとどまっており、今後の出店が課題と考えている。
チェーン展開は現在のところ国内においては直営オンリーだが、平成5年に子会社出店でハワイに一店、同6年にFCシステムでシンガポール、マレーシアに計一一店を出店している。
チェーン展開については近い将来においては、四〇〇店、五〇〇店舗体制が実現する見通しだが、スケールメリットの拡大に加えては店舗当たりの売上げ、収益力の向上にも力を入れていく考えにある。
このところの外食市場の環境は厳しさを増している。同業他社チェーンとの競合の熾烈さはもちろんのことだが、外食という枠で捉えれば異業態、またテークアウト機能のコンビニの弁当販売も強力なライバル関係にある。
加えて昨年においては、まだ一部今年に入っても取り沙汰されているが、「狂牛病」や「病原性大腸菌O157」などの社会不安、食中毒事件もあり、店の業績を低下させるマイナス要因が目白押ししている。
事業の拡大発展も重要だが、店舗当たりの収益力をどう確保するかはより重大な課題だ。この点、同社の場合は直営オンリーの店舗展開であるので、フレキシブルに戦術を立てていくことができる。
平成5年から一部店舗でスタートさせたデリバリーは、その具体化の一つだ。これは既存店に併設する形で始めているもので、ホームグランドの宇都宮市内の一〇店舗でおこなっている。
デリバリー商圏は半径三~五㎞。ピザ同様に三〇分の時間設定にあるが、一店舗当たり月商三〇〇万円以上の売上げで、思惑どおりの成果を上げている。
メニュー(宅配)単価は二〇〇〇~五七〇〇円で、店のイートイン、テークアウトの客単価に比べ、売上げ貢献度は大きく向上する。
種々ノウハウを蓄積して、立地特性をみて他店でも導入する方向にあり、収益向上の面で明るい見通しも立ってきている。
◇会社概要
・企業名/元気寿司(株)
・チェーンブランド/「元気寿司」
・会社設立/昭和54年7月(創業昭和43年12月)
・本社所在地/栃木県宇都宮市大通り二-一-五(電話028・632・5711)
・資本金/八億七六〇〇万円
・代表取締役会長/斉藤文男
・代表取締役社長/遠藤昇
・従業員数/正社員四七二人、パート五七三人
・事業内容/回転ずし、すしテークアウトショップ、すしレストランの展開
・決算期/3月
・出店数/平成7年度=直営一一八店
・売上高/一四五億円