点検 調理の万能選手「ラップ」 ニュークレラップ人気の秘密
「ラップ」。正しくは「ラッピングフィルム」。厚さわずか一〇ミクロン前後という超薄フィルムが食品の鮮度を保ち、おいしさを守る。しかも熱に強く、電子レンジに使えば「ゆでる」「蒸す」「煮る」「温める」‐‐と何役もこなす。まさに調理の万能選手「ラップ」も、材質、メーカーによって品質、特性に大きな違いがある。そこで、最近特にプロの料理人の間で好評の「ニュークレラップ」のメーカー、呉羽化学をたずね、リビング用品部のセールスリーダー永井良さんに「ラップ」の種類、品質、特性、クレハカット「ニュークレラップ」の人気の秘密など聞いてみた。 (インタビュー・樋田百合子)
《高品質ラップとは》 ‐‐現在、市場で売っているラッピングフィルムには、どんな種類のものがあるのですか。
永井 一般用、業務用を含めてクレラップの素材であるポリ塩化ビニリデンのほかに、塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプタジエンなどの樹脂が使われているものがあります。
‐‐ラップも材質、メーカーによって品質、特性に違いがあるようですが、品質の良いラップとは、具体的にどのようなことですか。
永井 いろいろ考えられますが、大体①使いやすいこと②包んだ食品をきちんと保存すること③電子レンジによる調理に適すること④衛生的に安心できること、この四点が考えられます。
‐‐使いやすいということは、どのようなことですか。
永井 まず、フィルムが強くて伸びないこと、フィルムが切りやすいこと、密着性が良いことの三点がポイントといえるでしょう。
強くて伸びないラップは手にした時、しっかりした手応えがあり、また切りやすく、「スパッ」とスッキリ切れます。この点、私のところのニュークレラップと他のメーカーのポリエチレン、塩化ビニール樹脂、ポリプタジエンのラップと比べていただければ、納得していただけると思います。
‐‐使いやすいことは、非常に大切な機能ですが、あくまで食品包装材として副次的な機能で本質的には「包んだ食品をきちんと保存すること」ですね。
永井 みずみずしさを保つこと。味や香りを保護し、他の食品から匂い移りを防ぐこと。栄養分をそこなわないこと‐‐の三点がポイントです。例えば、電気冷蔵庫には強い除湿の働きがありますので、食品を裸のままで入れておきますと、鮮度や色つやが失われてしまいます。
しかし、ニュークレラップに包んでいれますと、湿気を通さない働きをもっていますので、もとのままのみずみずしさを保つことができます。この保存効果は「通気性が大きいか小さいか」や「透湿度が大きいか小さいか」といったラップの違いによって違ってくるのです。通気性、透湿度はいずれについても、小さければ小さいほど、きちんと保存するといえます。
ニュークレラップの通気性は、ポリエチレンの一〇〇分の一以下、塩化ビニール樹脂のラップの七〇分の一以下ですし、透湿度は、それぞれ二分の一以下、二〇分の一以下です。こうした特性をもっていますので、ニュークレラップは、食品を酸化による変質や変色から守り、味や香りを逃がさず、移り香を防ぐことができるし、食品の乾燥を防ぎ、また湿気を嫌う食品を守ることができるわけです。
‐‐ラップは、電子レンジによる調理の場合、先ほどの話のように、通気性、透湿性がポイントですが、それ以上に耐熱温度がポイントになりますね。
永井 ニュークレラップの耐熱温度は、一四〇℃以上、各種ラップ中最高です。電子レンジによる調理では、通常の食品の発熱温度は一〇〇℃ぐらいまでですから、ニュークレラップは十分な余裕をもって耐えられますので、ニュークレラップが破れたり、穴があいたりする心配はまずありません。ニュークレラップは、ポリエチレン、塩化ビニール樹脂、ポリプタジエンのラップに比べ耐熱温度が高いので、電子レンジ適性が高いといえます。
‐‐電子レンジで調理する場合、特に注意しなければならないことはどういうことですか。
永井 例をあげますと、肉、魚、天ぷらなど油性の強い食品は、含有される油の沸点の関係で一四〇℃を超えることがありますから、深めの器に食品を入れニュークレラップを直接触れないようにカバーして使って頂きたい。直接触れますと、ニュークレラップでも破れることがあり、水分を逃がさないという機能が発揮できなくなってしまいますのでご注意ください。
《衛生的にも安心》 ‐‐ラップも衛生的に安心できるものでなければいけないと思いますが。
永井 安全衛生面での認識が高まっていますが、消費者の関心に対して、はっきり答えられるものでなければ、食品包装ラップとしては不適格であるといえます。その点、ニュークレラップは日本の食品衛生法、あるいは厳しいことで定評のあるFDA(米国食品医薬局)の規格にも合格しているすぐれた製品です。また、当社は塩化ビニリデン衛生協議会を通じて、ニュークレラップの安全性の確保に努めております。同協議会は、ポリ塩化ビニリデン製品の安全性確保のために、自主規制基準の実施推進、国内外の情報収集、各種の研究および関係先への接点としての諸活動を行っております。
‐‐最後にお聞きしたいのですが、ニュークレラップは、現在市場で売っているラップと比較して、どこに特徴があるかまとめてみて下さい。
永井 ニュークレラップの特徴は、ユーザーがラップを使用していて困っている問題を調査して品質・材質的に対策を講じ、使いやすいラップとなっていることです。例えば、「切ると、すぐにまとわりついてしまう」点の対策として、引き出したラップが中央からスパッと切れ、そのままラッピングできる「クレハカット」方式を採用しています。
また、「ラップが巻き戻って、もう一度引き出すのが難しくイライラ」してしまいますね。この対策としてラップを引き出し、親指マークを押さえてカットすることにより、その裏にある緑色の巻き戻り防止ストッパーにラップだけが接着するような工夫をしてあります。さらに、「引き出す時に、ラップが飛び出してしまい、使いにくい」点の対策として、箱の外側にフタを付け、飛び出さないようにしました。
また、「カッターの刃が外側にあり、指を傷つけてしまう」点の対策として、今までのラップのようにカッターの刃が指の外側でなく、フタの内側に一体となるような工夫をし、より安全になっております。