パン特集:「神田精養軒」安全・健康ひと筋

1994.08.15 58号 10面

安全で健康を考えたパンを作り続けているのが、神田精養軒。白く、柔らかいアメリカ式パンがもてはやされる中、こだわりの無農薬・有機・輪作のシュタイナー農法で育てられたライ麦やオーツ麦を、カナダから輸入している。また、小麦についても、ポストハーベスト(収穫後の殺菌殺虫処理)の心配のない、北海道産小麦「ハルユタカ」を使用するほどだ。さらに、独自のシュタインメッツ処理製粉法も採用している。

「シュタインメッツ処理製粉法で作られたシュタインメッツパンは、栄養の大部分を取り去った白パンでもなく、汚染された外皮を含んだ北欧式黒パンでもない。汚染された外皮だけを取り除き、しかも栄養の宝庫である胚芽を含む、おいしく安全なパン。日本で「唯一、この製粉法を持っているからできる自然の恵みのパン」と自負する。

また、「人工的に作られたものは、なるべく使わない」という考えに基づき、イーストフード(化学合成のイースト活動促成剤)は一切使わず、ライ麦を栄養源として自社培養したライサワー種、小麦培養の小麦サワーに生イーストを半々に混合している。

「発酵に時間もかかり、温度、湿度に影響され、パンは毎日違う。均一化は難しい。それがパンである」と。

こだわりは、水の安全性から三重構造の浄水器の使用に至り、仕上げ工程の「焼く」窯も、石窯構造のドイツ・ヴェルナー社製で、じっくり時間をかけて焼き上げる。

こうしたこだわりのパンも、昨年まで学校給食に提供されていたが、物流面に問題ありと、今年から中止。量販店でも管理の難しさから受入れられず「今ではパンは全売上げの一割に。あとは添加物なしのマドレーヌやゼリー」だが、先代の「一汁十菜」の理念を貫き通し「安全で健康なパン作りに励みたい」とする。

パン・メニューは、国内産一〇〇%の「国内産小麦パン」ほか三大アレルゲン(牛乳類、卵類、大豆類)を使わないライ麦パン、小麦パン一四種類など三〇アイテムを販売している。

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