厨房のウラ側チェック(63)店舗衛生管理としてのネズミと衛生害虫(1)

1994.12.19 66号 22面

飲食店において、営業中お客様の前にネズミや衛生害虫(ゴキブリ、蚊、ハエなど)が出現すると店のイメージが一気に下がります。それは、不衛生な店舗であると印象付けられ判断されます。お客様はエスカレートして、今、食べている料理にも不信感を抱きます。このような状況を想定した時、読者はどう対処しますか。それは、PL法および食品衛生法上の解決策、公衆衛生上の対応、そして民法上の問題などが含まれています。

ここで、このようなクレームが発生した時の基本知識を読者に与えます。それは、一般の人の住居およびその周辺で、環境を快適に保つために設定された「ねずみ・衛生害虫駆除に係る環境の維持管理基準設定に関する調査研究」の中にある対象種でとの維持管理基準が、われわれの物差しとなります。この調査研究は、厚生省の委託で財団法人日本環境衛生センターを中心に一一人の委員会でまとめられたものです。

この報告書では、不快感や軽微な刺咬傷を与えるものとしてのネズミや衛生害虫については、快適な環境の保持の立場から許容密度を設定し、これを目標に対策を立てるのが妥当と考えられた基準が維持管理基準であるとしています。アレルギー患者などの特定な人を対象にするものではなく、また、病院、学校、飲食店街、地下街、倉庫などの特定な建物を対象にしたものでもないわけです。しかし、この調査研究の結果は、われわれにとって大変参考になりますので、以下に維持管理基準を示します。

ネズミは、目視法でネズミおよびふん、かじり痕を全く見ない。ゴキブリは、粘着トラップを台所などに一個、二日間設置し、合計数二匹以下。ハエは、目視法で三匹以下。しかし、チョウバエは五匹以下。蚊は、目視法でアカイエカとチカイエカの場合三匹以下。ユスリカは一〇匹以下。ノミは、目視法で一匹以下。ダニは、約一〇センチメートル四方の黒い紙を一五分間床に置き、はいあがりを見て一匹以下。

以上ですが、次回から詳細に述べることにしよう。これは基準となるもので、物差しですから調査法を含め、良く納得してほしい。

食品衛生コンサルタント

藤 洋

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