食物販から学ぶメニュー開発のヒント:皇室御用達あんぱんの木村屋がつくる絶品あんホイップサンド
あんぱんの元祖として知られる木村屋總本店の創業は1869年だという。元号に直すと明治2年、つまり明治維新の直後ということだ。明治天皇にあんぱんを献上し、2019年には創業150年を迎えた同社は、他の製パンメーカーとは少し異なった存在感を放つ。首都圏に直営店と多数の販売網を持ち、売上高は100億円を超える老舗企業だ。ちなみに、銀座であんぱんが有名な店舗「銀座木村家」は、同じ系列だが法人としては別会社である。おそらく、「木村屋」と「木村家」で名前が異なるのを知らない人も多いだろう。
同社は昨年から、新たなブランドの店舗を出店している。昨年は渋谷の商業施設に、あんぱんと牛乳を販売するスタンド型店舗「キムラミルク」を出店。そして今年6月、JR山手線の巣鴨駅にオープンしたのが、サンドイッチを中心に、惣菜パンや菓子パンなどを販売する「キムラスタンド」だ。
同店は2号店を日暮里のエキナカにも出店した。
その「キムラスタンド」から今回取り上げたのは、食パンにあんことホイップクリームを挟んだスイーツ系の新商品「バターホイップ&あんこ」。味の決め手は、ホイップクリームと一緒に挟んである薄くスライスした無塩バターだろう。この無塩バターがサンドイッチに単なる甘さだけではない独特のコクを与えていて、よくある生クリームを使ったスイーツ系のサンドイッチとはひと味違うおいしさを生み出している。同社が同店でしか販売していない商品の一つだ。
製パン業界にはヤマザキというガリバー企業がいるが、実はパン好きな人々の多くは、1店舗かせいぜい数店舗しかない独立ベーカリーの顧客が多い。個人店が評価される状況は、外食でいえばラーメンの分野に近いだろうか。
(入江直之)
●「バターホイップ&あんこ」
581円、1/2サイズ280円(税込み)
「キムラスタンド」各店
所在地:JR巣鴨駅、JR日暮里駅
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/