電化厨房特集:大手外食チェーンの最新電化厨房=丸亀製麺松戸栗ヶ沢店
2000年にセルフうどんの業態としてスタートした「丸亀製麺」。電化厨房導入が始まったのは2008年11月であり、以降、ロードサイド型の新店舗では基本的に電化厨房を採用。現在では約100店舗が導入済みであり、ランニングコストの抑制以外にも効果が見られているという。
今回の省エネ法/温対法の改正に対して、(株)トリドール店舗システム開発部の三浦啓士郎部長によると、「今は、本年度の使用状況を把握するための『見える化』を進めている段階」と言う。
既に約100店舗での電化厨房導入実績のある同社。2008年に導入を始めた背景には、いくつかの要素があったという。例えば、店舗展開を進めるに当たり、着火時の不具合や、やけどなどの安全面での問題対策。厨房内の温度上昇を抑えた、働きやすい環境への改善の要望。そして、エコキュートの機能面での進歩など。これらの要素を考慮した最適のタイミングでの導入開始により、ほぼ期待通りの効果が得られているようだ。
現在、標準的な店舗では、ゆで釜、フライヤー、IHレンジ(スープレンジ)、湯煎機を採用している。「ゆで釜に関しては、既成の製品では機能的に満足いくものがなかったため、丸亀製麺オリジナルの釜を特注している。この釜では特に、理想とする対流が起こるように調整しているため、うどんをゆでる作業面でも、品質面でも問題はない」(三浦氏)
一方で、ガス釜と比べると蒸気の量が多く、店内での結露が起きやすいのだが、空調機器の調整で対応している。また、導入当初は余裕を持たせた電力量の設定にしていたが、現在では適正なスペックに修正した。
今後も、電化厨房の導入によって発生する問題を単なるデメリットとしてとらえるのではなく、対策の必要な部分として把握し、改善を進めていきたいとしている。
◆現場のコメント:丸亀製麺 松戸栗ヶ沢店・信田裕一店長
電化厨房を使ってみて思うのは、メンテナンスに手間がかからないこと。目詰まりなどがないですし、機器や鍋などに、すすも付かないので、掃除も本当に楽ですね。
また、現在IHレンジで使っている鍋では、“鍋つかみ”を使う手間が省けるといった細かい部分での利点も感じています。
ガス厨房のときには特に足下に熱気がたまりやすく暑かったのですが、今はそうした温度の偏りはもちろん、極端な温度上昇も抑えられ快適です。
◆店舗メモ
●「丸亀製麺 松戸栗ヶ沢店」/所在地=千葉県松戸市栗ヶ沢825-1
●(株)トリドール/本社所在地=兵庫県神戸市中央区小野柄通7-1-1/事業内容=「丸亀製麺」326店舗(2010年2月末現在)ほか
◆使用機器紹介:ホシザキ(株)「業務用電磁調理器 HIH-55LB」
実際の調理にあわせ、トロ火に相当する低出力設定が可能。煮物や味噌汁など、デリケートな火加減が必要な調理にも対応。
さらに、標準装備の保温モードで6段階の保温運転もでき、プレート裏にあるセンサーが間接的に鍋底の温度を検知し、コントロールする。消費電力=3相200V×5kW