食べ物の単位と漢字7 キュービット 【PR】

肘鉄を食わせる

 誰にも苦手な食べ物、嫌いな食べ物はある(と思う)。自分が大好きな食べ物を、相手が嫌いだということだってある。嫌いな物を食べるのは、本当にきつい。
 それなのに、長い人生には、食べ物でないものまで食べさせられることがある。たとえば、意中の女性をデートに誘ったのに、とりつく島もなくぴしゃっと断られる――そんなとき、「肘鉄砲を食わされた」と表現する。女性側から言えば、「肘鉄砲を食わした」だ。
 一般的に肩から手首までを「腕」と呼んでいて、その腕が曲がるところが「肘」だ。人体の中では、とても重要な箇所である。「肘鉄砲」というのは、その固い部分で突きのけること。これが転じて、誘いや申し出をはねつけることも「肘鉄砲」という。略して、「肘鉄」。
 肘は攻撃の場面だけでなく、長さの測定にも使える。人体の構造上、肘から指先までをテーブルの上に置いたり、壁に当てたりすることができるからだ。こんなに便利な部分はそうそうない。その長さ(肘から指先まで)を覚えておくと、およその長さを知りたいときにとても便利である。私の場合は、約47cm 。これが、「キュービット」だ。
「キュービット cubit」は古代エジプトやメソポタミアなどで使用されていた長さの単位で、その名称は「肘」という意味のラテン語「cubitum」に由来する。「肘から中指の先までの長さ」をもとに定められているので、1キュービットは 43~53cmくらい。ダブルキュービット(2キュービット)だと、1mくらい。
 キュービットは、地域や時代、用途によってその長さが異なる。古代の単位は、こういうのがほとんどだ。古代エジプトの場合、王様の「肘から中指の先まで」が公式のキュービットとされた。だから、ファラオが変わるとキュービットの長さも変わる――なんてことも。そんなんで大丈夫かと思われるかもしれないが、今もエジプトに残る多くのピラミッドは、この「公式キュービット」を単位として精密に作られている。
 では、さっそく、テーブルに肘を乗せて測ってみよう。ただし、食事中にテーブルに肘をつくのは、マナー違反。そんなヤツには、肘鉄が食わされるかもしれない。

星田 直彦(ほしだ・ただひこ)

1962年、大阪府生まれ。奈良教育大学大学院修了。中学校の数学教師を経て、現在、桐蔭横浜大学 准教授。実生活や歴史の話題を多く取り入れた数学の講義は好評である。幅広い雑学知識を生かして、「身近な疑問研究家」としても活躍。
おもな著書に、『単位171の新知識』(講談社ブルーバックス)、『図解 よくわかる単位の事典』(KADOKAWA)、『楽しくわかる数学の基礎』( SBクリエイティブ サイエンス・アイ新書)など多数。
ホームページ:「星田直彦の雑学のすゝめ」
ブログ:「雑学のソムリエ」

キュービットの長さは、年齢によっても変わる。身体の成長には、バランスよく栄養をとることが必要なのは言うまでもないが、特に骨の成長に欠かせないのがタンパク質とカルシウム。ごまは、タンパク質にくわえ、カルシウムなどのミネラルも豊富に含んでいる。カルシウムの含有量は100g当たり1200mgと、魚や乳製品以外では異例ともいえるほど多く、小さじ一杯(3g)でも36mgもとることができる。骨を健康な状態に保つことは、加齢に伴う骨の老化を抑えることにもつながる。年齢を問わず、食事に欠かさないようにしたい。

うまかあじ
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