第33回食品安全安心・環境貢献賞 2社の取組みに光 現場視点で価値創出
日本食糧新聞社が制定する「第33回食品安全安心・環境貢献賞」(環境省後援)に、災害時でも純度の高い水を提供できる逆浸透膜浄水装置を活用した取組みと、飲食店のグリストラップ清掃を大幅に簡略化する油回収技術で存在感を示した2社が選ばれた。大型台風の影響で書面審査に変更された選考会では、各選考委員の評価をもとに牛久保明邦委員長(東京農業大学名誉教授)が最終選考を行った。表彰式は11月5日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で「第57回食品産業功労賞」と合同で開催される。(涌井実)
●11月5日表彰式
今年の受賞企業は、いずれも“現場視点”で新たな価値を創出した環境向学とASPiA JAPAN(アスピア・ジャパン)の2社に決定した。
水処理の技術供与や浄水システムの設計・製造・販売などを行う環境向学は、災害時に雨水や貯水槽、プールなどの水をろ過して飲用化するシステムを開発。通常時は水道水を高純度ろ過する浄水装置として利用できる汎用性の高さと、大学と連携した普及活動の実績が評価された。
ASPiA JAPANは、飲食業界で活用が進むグリストラップ改善ソリューションの実用性と改善効果が認められた。独自開発した油吸着材(ECOSASファイバー)を使い、清掃作業にかかる手間や時間、費用などを大幅に削減。吸着した廃油をリサイクルするスキームも構築した。
同賞は食の安全・安心や環境保全、社会貢献などに積極的な活動と成果を挙げた食品関連企業を表彰するもの。今年で33回目を迎え、SDGsやサステナビリティ、食の安全・安心、環境保全などへの取組みを評価する。
◆選考委員(委員長以下五十音順・敬称略)
▽委員長=牛久保明邦・東京農業大学名誉教授▽委員=荒川隆・食品産業センター理事長、池戸重信・消費科学センター代表理事、井上淳・サポート企画ラボ代表/開志専門職大学客員教授、新宮和裕・チームみらい代表、村上秀徳・食品等流通合理化促進機構会長、森下研・持続性推進機構顧問、杉田尚・日本食糧新聞社社長
◆第33回食品安全安心・環境貢献賞 受賞企業と受賞ポイント
環境向学:有事における災害非常用浄水システムの開発と普及推進
ASPiA JAPAN:資源循環に向けた油回収技術の確立と外食産業での活用