地域ルポ・繁盛店紹介「デミソースかつ丼」:だてそば
創業は約四〇年前という岡山市の老舗「だてそば」。市内中心部に立地し、ランチタイムのウエーティングはもちろん、休日ともなると開店から閉店まで客足が絶えない。
メニューは「支那そば」(五五〇円)と「かつ丼」(七五〇円)の二種類だけで、客の大半がデミソースのかつ丼をオーダーする。
人気の決め手は生卵のトッピングだ。これをソースと混ぜ合わせて食べる。ウスター風味のパンチのあるデミグラスソースと、黄身のマイルドなコクがベストマッチし、病みつきになるという。
デミグラスソースは、「先代の味を変えないように」と継ぎ足しを何十年も繰り返した逸品。仕込みに丸二日間かけ、鶏がら、豚骨、鰹節のがらスープを最後に加えて調味する。あっさりした風味のがらスープを加えると味に深みが出て、それがジューシーなとんかつに染みわたり、絶妙な味わいを生むという。
「毎日食べに来るお客さんもいる」という店主の自慢にも納得の逸品である。
◆これが決め手 店の愛用食材
「愛用食材といえば、これ」と指すのは「国分のパン粉」。「先代から引き継いで愛用しています。浮気はありません」という。
愛用理由は、帰郷で立ち寄るもとの常連客のためにある。「変わってないね。この味だよ」という帰郷客のひと言が一番うれしいのだとか。時代対応も必要だが、変わらぬ味を提供するのが一番大切という。
◆「だてそば」(岡山県岡山市表町二‐三‐六〇、086・222・6112)営業時間=午前11時30分~午後7時(土・日・祝は午後7時30分)、火・水曜日定休(祝日の場合は翌日)