シーフード調理学(7)エビ<3>人気ゆえ多様な調理法
エビ料理がなぜ各国共通の人気メニューになっているのでしょうか。
それはエビがほかの魚に比べて生臭さがなく、その上に味が淡泊だからではないでしょうか。プロの中にはクルマエビをシーフードの中で「最高」としている人もいるほどです。
そんな理由からかエビの調理法の多いのに驚かされます。好まれる味だからこそメニュー開発されるのでしょうが、それだけ多様な調理法があるからこそ世界で広く食べられるということにもなります。
一般にいって調理法の基本は、生食、煮る、焼く、揚げる、ゆでる、蒸すなどがあげられますが、洋風となると、これにバター焼き、クリーム煮、ピラフなどが加わったりします。
輸入物を含めた業務用の用途を紹介しておきましょう。
・揚げ物用(フライなど)=大正エビ、ホワイト、クルマエビ(竹)
・天ぷら種用=タイガー、キング
・焼き物用=大正エビ、ホワイト、ブラックタイガー(鳥)
・すし、すし種用=タイガー、キング、メキシコブラウン、ギアナピンク
・日本料理用=フラワー(花)
・高級料理用=バナナ
名シェフといわれた辻勲の『西洋料理』によりますと、魚の調理法は次の一四種に分類されております。
(1)バター焼き(ムニエル)(2)揚げ物(フリチュール)(3)蒸し煮(ブレーザージュ)(4)蒸しゆで(ポシャージュ)(5)網焼き(グリヤード)(6)蒸し焼き(グラタン)(7)漬け物(マリオード)(8)冷製(フロワード)(9)すり身(クネル)(10)詰め物(ファルス)(11)コロッケ(12)スープ(13)コックテイル(14)シチュー、です。
エビはこのうち一一種の調理法に応用できる素材であり、向いていない料理は、ムニエル、ファルス、シチューの三種にすぎません。先だって神楽坂の惣菜専門店で「仏蘭西コロッケ」を購入したことがありましたが、このコロッケは芝エビが入ったクリームコロッケで本格的なものでした。
フランスにはこのほかの料理としては、エビフライ(ベーニュー)、クルマエビを白ワインで蒸し上げたもの、芝エビのマヨネーズあえのカナッペなど数限りなくあります。
ではわが国で最も人気のあるメニューは何か。前にも紹介しましたように、やはりエビ天、エビフライといえるでしょう。
(『ニューデリカ通信』編集長)