メニュートレンド:ファンキーなそばとろ 映え過ぎる一品
おいしさに加えて“映え”の魅力が外食メニューでは重視されている昨今、良くも悪くも“映え”要素を加味するのが難しいのが日本そばだろう。そんな中にあって、「更科天狐」の「そばとろ」は、数々の“映えメニュー”を凌駕するファンキーな一品。見た目は斬新過ぎるが、日本そばの伝統を次世代に伝えるチカラがあるメニューである。
●革新を超えた「伝統と斬新」
「更科天狐」をプロデュースした森智範氏によると、「日本そばの店はあまりアップデートされていない。後継者がいないという声も聞く。日本ならではのそばの魅力を若い世代につなげる“カッコいいそば屋”を作りたいと思った」と、2025年1月に同店をオープンした。「そばの名店は敷居の高い印象。そうした名店に行く前のステップとなるような店」(森氏)を目指し、同店のそばは名人の永山寛康氏が監修した100%そば粉の本格派で、 「さらしな」「玄挽き(田舎そば)」「十割そば」の3種類を揃えている。そばつゆはハラール醤油を使用し、サイドメニューも約9割がグルテンフリー。健康感とおいしさを両立した「食べると勝手に“ととのう”料理」を追求しているという。
そのビジュアルの斬新さに誰もが驚く「そばとろ」は、とろろに健康野菜とされるビーツをすりおろした粉を合わせている。伝統的な日本そばでありながら見た目はファンキーで楽しく、まさに“勝手にととのうカッコいいそば”。そば前の提案も興味深い。「名物!天狐の蕎麦前盛り」は、昔ながらの江戸っ子の文化である「そば屋で一杯」を現代風の楽しげなビジュアルで提案しており、そば屋定番の焼き海苔、板わさのほか、味噌ナッツ、天恵〓(こ)(椎茸)のオイル煮、焼いてラム酒で煮込んだ鴨などを盛り合わせ、「日本酒だけでなくハイボールにも合うようにした」(森氏)と言う。「そばだけをさっと食べて行かれるお客さまももちろんいるが、ほとんどのお客さまがコース料理のように前菜、料理とお酒を楽しみ、締めにそばを食べる」と、塚本アキラ店長。日本そば屋の楽しみを時代に合わせて現代風にカッコよく再構築した店というわけだ。
●店舗情報
「更科天狐」
所在地=東京都台東区浅草2-7-25/開業=2025年1月/坪数・席数=22坪・カウンター10席、テーブル22席/営業時間=11時30分~23時。無休/平均客単価=4300円/1日平均集客数=65人
●愛用食材・資材
「上撰 白味噌」石野味噌(京都市下京区)
繊細で上品な甘さ
創業天明元年、京都では昔から名品として知られる石野味噌の白味噌。同店ではそば前の「焼きそば味噌ナッツ」や味噌漬け焼きなどに使用。「甘味が強いが繊細な味わいで品が良く、硬さも滑らかでちょうどよい。味にほれ込んだ」と、塚本店長。
規格=2kg