宅配特集:宅配チラシ戦略とメニュー政策成功のポイント

2001.11.05 239号 6面

宅配チラシの目的は基本的に新規の顧客に注文してもらうことだ。一度注文した客をリピーターとして獲得するためには、訴求ポイントを明確にしたチラシ制作とタイミングに合ったポスティング戦略が必要だ。

((株)船井総合研究所大阪第一経営支援本部・高比良亜以)

◆チラシコストの目安

チラシとそれ以外の販促のためのコストの目安としては、「年間販売促進費=年間粗利目標額×一〇~二〇%以内」である。チラシなどの販促ツールを上手に使えば、専業の営業マンを置く必要はないから、この数字は、販促コストとして多すぎることはない。

別表は販促手法とコストの関係を大小順にならべたものだ。下へ行くほど販促コストが小さくなり、上へ行くほど即効性もあるが、販促コストも大きくなる。

まずは自店の力相応の販促手法を選ぶべきだ。

◆カタログチラシのコスト

これは全商品が掲載されている総合カタログをイメージするとよい。全商品を掲載すると数ページにわたることもあるので、新聞折込をするとコストが大きくなる。したがって、カタログチラシは原則的には、他の媒体で問い合わせのあったお客様に郵送したり、直接持参する方法がよい。

全取り扱いアイテム数が少ない場合には、新聞折込もよい。

◆カタログチラシのポイント

カタログチラシのメニューで重要なのは競合店対策だ。商圏内の競合店の品ぞろえと価格はチェックしておく必要がある。

特に自店が負けたくない部門の最低価格は競合店と同等あるいは競合店の77%内におさえておく必要がある。そして負けたくない部門の商品点数は競合店の1.3倍、絶対に負けたくないなら1.7倍用意する。この1.3という数字を「差別化倍率」と呼ぶ。この倍率は他店との違いをお客様にはっきり感じていただくために有効だ。

◆一点突破するチラシの種類と効果

全商品を網羅しているカタログチラシに対して、少ない商品点数を掲載して、チラシコストをおさえ、比較的ローコストで新規客に注文してもらうことを目的にする。そして一回目の注文で終わらせることなく、次に総合カタログを渡したり、特典やDMなどで再注文を促すというやり方である。だから、まず注文をいただくことが最大の目的になる。「一点突破チラシ」には以下の種類がある。

(1)お試しキャンペーンチラシ

日常的な昼食用の弁当や一般家庭の夕食用などの継続的な注文のとれる見込み客を発見するためのもの。お試し一週間コース、期間限定などで、比較的購入しやすい安い価格に設定することがポイント。一度試してもらったお客様には必ずアンケートを実施し、継続して注文をもらえる理由、もらえない理由を把握しておくことが大事。

(2)季節商品チラシ

季節限定商品でとにかく注文をもらうためのチラシ。ポイントは、旬の素材を一番に打ち出すこと、期間限定にすること、一日限定個数にすること。そして最大のポイントは「美しいチラシ」よりも「おいしそうでつい注文してしまうようなチラシ」を作成することだ。

チラシで新規顧客を獲得しようと思うなら、年間に一回豪華なチラシを折り込むよりも、年間数回季節ごとに変わるチラシを折り込む方が、反響数が上がる(チラシの頻度優先の原則)。しかし毎回同じチラシを折り込んでいたのでは飽きられるので、その意味でも季節商品チラシは効果的。

(3)一番商品チラシ

自店の「一番商品」を訴求するチラシ。一番商品で新規顧客を獲得したい場合は、なるべく低単価で購買頻度の高い必需品であることが理想。例えば、比較的日常的に食べられる幕の内弁当と、法事用の会席料理では、幕の内弁当で一番商品をつくり、チラシに掲載したほうが、反響数は多くなる。一番商品をまず注文してもらい、気に入ってもらってから他の商品をおすすめする方が、再注文率が高まる。

◆メニュー政策成功のポイント

メニュー政策で一番大事なことは次の二点を決めることだ。

(1)個数一番アイテムはどれか/戦略的集客アイテムとしてとにかく一番個数を売る商品。この商品のお値打ちポイントを客層別に、商品価値からずばり一言でチラシに表すことができるかどうか。

(2)稼ぎ一番アイテムはどれか/戦略的稼ぎアイテムとして、とにかく利益を上げることのできる商品。この商品のポイントをずばり一言でチラシに表していく。

以上二つのアイテムを徹底的に販売し、この二アイテムの属する単品で圧倒的に一番になることが、デフレ期にも繁盛する秘けつなのだ。

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