地域繁盛店(仙台)テークアウトメニュー編:T・R・A・N・S・F・E・R
東京から仙台へUターンしてきたオーナーの角谷さん。自身がパン好きだったこと、また一九九六年のオープン当時、仙台ではまだサンドイッチ専門のカフェがなかったことなどから「トランスファー」を開店した。
メニューはすべて自分で考案。ツナサラダサンドは海の神様・ポセイドン、ポテトとベーコンのクリーム煮はジャガ芋にちなんでアイダホといったネーミングもユニーク。野菜は朝市が徒歩一分という立地にあるため、毎日新鮮なものを手に入れる。
オープン当初はイートインのみだったが、カウンターだけでわずか一〇席の店内は、昼時には満杯に。客からの要望もありテークアウトをスタートさせた。パンを焼いたり野菜を切ったり、意外に手間のかかる調理は角谷さん一人でこなしているため、電話での事前予約を推奨している。
イートインでは日替わりでホットサンドセットもあり、ドリンクやデザートがついてオールタイム七〇〇円。
◆ポパイ(600円)
「ポパイ」はその名の通り、ホウレンソウとベーコンを使ったイギリスパンのホットサンドイッチ。ベーコンをチリチリに焼いてホウレンソウを加え、フンワリと仕上げたスクランブルエッグを、ほんのり焦げ目が香ばしいイギリスパン二枚でサンドする。さらにパンをもう一枚、サニーレタスとトマトにたっぷりケチャップを乗せて、三枚重ねでボリュームも二重丸。サクサクのパンと卵の弾力、シャキシャキの野菜が何とも絶妙な歯ごたえだ。
◆ファーマーズ(600円)
中東生まれのポケット型のパンに、宮城県産の地鶏の照り焼きと新鮮野菜をはさんだ「ファーマーズ」。たっぷりのレタスやキュウリに隠れて見えない照り焼きは、店の手作りオリジナル。スライスではなく、照り焼きソースで煮込んだ鶏をほぐし、マヨネーズと塩、コショウであえてあるから、かめばかむほど味がジュッと広がる感じ。まだ仙台では知名度の低い「ピタパン」も「これは何?」と逆に興味を示す客が多いのだとか。
◆ひと言 角谷伸一オーナー
フランス映画のポスターや外国雑誌が並ぶ店内、メニュー表もイラストで一工夫。このさりげないおしゃれ感が一〇代、二〇代に人気が高い理由だろう。
東北のカフェではほかに扱っていない「一〇〇%オレンジ」の雑貨も購入でき「今後徐々に雑貨を増やしていく予定」と角谷さん。店づくりから調理まで一人でこなしている点にも、大型店にはない手作り感とオーナーのこだわりが見える。小さいがゆえに客との温度差がないことも魅力だ。
●愛用食材 紀ノ国屋ベーカリーのパン
具材もしかり、サンドイッチはパンがおいしくなくては話ははじまらないが、「まだベーグルやピタパンといったパンが仙台ではメジャーではなかったため、方々探したけれど納得のいくものが見つからなかった」と角谷さん。そこでピタパン、イングリッシュマフィンとベーグルは、紀ノ国屋ベーカリーのブレッドを使用。これは東京在住のおり、よく食べていたものだという。ちなみにイギリスパンのみ明治屋仙台店ベーカリーのものを使っている。
◆T・R・A・N・S・F・E・R(宮城県仙台市青葉区中央三‐九‐二一、北谷ビル一階、電話022・223・4262)