めざすは一流MISS料理人:聘珍樓横濱本店点心担当・斎藤薫さん

2002.11.04 262号 5面

一七〇センチメートルのスラリとしたモデルタイプ。

「テニスで鍛えましたから、下半身はしっかり型です」と笑う斎藤さんは伸び盛りの二五歳だ。

調理師専門校を卒業後、聘珍樓に入社。七年目に入った中堅どころである。

聘珍樓横濱本店は、本店(七階建て・最大収容人数八二〇人)と、隣接する新館(五階建て、最大収容人数一五〇人)があり、新館一階が飲茶フロアだ。

飲茶メニューは百数十種類。一皿当たり六〇〇~九〇〇円で本場香港の味が堪能できるとあって、平日でも「予約待ち」はザラ。朝10時から夜11時までと、飲茶タイムが長いのも好評だ。

本館・新館にそれぞれ調理場があり、調理スタッフは五〇人余。飲茶専門スタッフは七人いて、斎藤さんはひねり、包みなどの握りから、今は味入れやあんなどを学ぶ段階という。

蒸し・揚げ物、仕込みのポジションで、他のスタッフらと声をかけあい、きびきび働くその姿からは「順風万帆」という言葉が浮かんでくる。

「実は、一回仕事をやめているんです」

入社後すぐ、「海鮮アレルギー」となり、エビなどの魚介類に触ると手に湿疹ができるようになった。ドクターストップがかかり、やむなく勤務一年半で退社する。

その後、半年ほどファミリーレストランで働くが、「アルバイトでは自分の身につかない」と実感。

たまたま聘珍樓時代の先輩の送別会に呼ばれ、「デザートの部門が新設されるから、またやってみないか」と声をかけられて、復帰を果たした。

「アレルギーは完治していませんが、専用の手袋をつければ大丈夫なので、デザートから再び点心担当になりました。この仕事は重い鍋をふったり、回したりと大変ですが、カッコ良さが気に入っているんです」

間近な目標は、六年以上の経験者が受けられる「上級調理師試験」に受かること。将来は、「点心のすべてを任せてもらえるようになりたいですね」と抱負を抱く。挫折を越えての強さ、しなやかさが、斎藤さんの魅力でもある。

◆「聘珍樓横濱本店」(横浜市中区山下町一四九番地、中華街大通り、電話045・681・3001)

◆プロフィル

さいとう・かおり=1977年東京都生まれ。サラリーマン家庭に育つが、「中学のころから料理好き。食べるのも、食べさせるのも好き」で、高校卒業後は調理師専門学校へ。「サッと作れるのにおいしい」中華を志向。早番は朝7時半から、遅番は夜10時半に及ぶが、充実した毎日という。息抜きは会社の同僚や友人らとの食べ歩き。

◆料理人を目指す女性の後輩へ

仕事に就いてみないと、何が起こるかは予想がつきません。でもやり続ければ道は開けるものだと思います。悩みを話せる友人の存在も大事ですね。

◆料理長からひと言 岩澤公継さん

うちの調理場は女性と男性の差はありません。斎藤さんには飲茶を確実に覚えてもらい、さらにその次の目標に向かって、まい進してほしいですね。

◆いちおし食材 ハワイの塩

一年ほど前から使っていますが、ミネラル分が豊富で、まろやかで辛すぎないのがいいですね。ハワイにはキラウェイ火山があり、その海からとれるため赤い色をしています。そのままふりかけるには適しませんが、この塩に慣れると、市販の塩ではもの足りなくなります。キロ五七〇円と、日本のこだわりの塩と比べても二~三倍の価格ですが、それだけの価値はあります。(聘珍樓では今後、小売販売も企画中)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら