百花繚乱!立ち食いそば:「加賀」かき揚げそば

2004.02.02 280号 5面

そば屋さんで「天ぷらそば」といえば、エビ天とシシトウが乗ったものを思い浮かべると思う。

しかし立ち食いのそば屋さんにおいては「天ぷらそば」はかき揚げを乗せたものが標準となっている。コストを低くボリューム感を出すことができるかき揚げは立ち食いそばでは一番の売れ筋であり、かき揚げの出来いかんによって店の評価が決まるといっても差し支えない。そんなかき揚げにこだわり、専門店顔負けのものを出す店が、初台にある「加賀」という店。

注文カウンターの向かい、お客さんの目の前で仕込みを行い、注文を受けてから揚げる。揚げ油の中にセルクルを浮かべてたねを投入、菜箸でつつきながら空気を入れて五センチメートルを超える厚さを作り出す。

しっかりと油を切って麺に乗せ、上からつゆをかければ「ジュワーッ」。目の前に提供されてもなおジュウジュウと音を立てる特厚のかき揚げは箸を入れればカリッと心地よい音を立て、口に入れれば大きめに切られた玉ネギの甘さが広がる。

店内で取るだしと創業当時から使用している生麺も及第。東京芸術劇場・オペラシティの膝元という立地にあるが、オペラの帰りでなくてもわざわざ訪ねるだけの価値がある名店である。

◆「加賀」(東京都渋谷区本町一‐二‐三、初台北口ビル二〇三号)営業時間=午前7時30分~午後8時)

◆青木剛理=立ち食いそばの発展・認知高揚を目的に、ホームページ「立ち食いそば紀行」(首都圏の立ち食いそば店ランキングなど/http://www.gori.sh//)を主催運営。当連載は約六〇〇軒強の食べ歩き実績から超必見店を紹介。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら