売れるメニュー開発の新発想:惣菜活性の起爆剤、揚げ油にオリーブポマース油
健康志向を背景にオリーブ油の消費量が年々増加しているが、そのオリーブ油を揚げ物惣菜の揚げ油に用いる初挑戦が現れた。中堅スーパー「オーケー」は昨年末、揚げ物惣菜の揚げ油をコーン油からオリーブポマース油(イタリア産)に全店転換。高品質保持と作業効率の飛躍的アップに手ごたえをつかんでいる。
「胃もたれしない揚げ物が食べたい」。
飯田勧社長の一言をきっかけに、オーケーはオリーブポマース油を採用した。
昨年12月初旬から全店で導入開始。淡い黄色の天ぷら衣、サクサクのフライ衣など、オリーブポマース油ならではの揚げ物惣菜・弁当が売れている。
「前よりおいしくなった」「食感がよい」「胃にもたれない」「イメージがよい」など、常連客の評判は上々だ。
「予想以上の好結果。高品質・ヘルシー訴求はもとより、油の劣化が少なく調理効率も高まった」と勝間田力夫専務。「コストは前とほぼ同じだが、油の入れ替えと廃油が少ない分作業効率がアップした」という。
オリーブポマース油とは、オリーブの一番絞り油であるバージン油に次ぐ二番絞り油のこと(表参照)。前者の圧縮絞りの後、熱処理絞り出すため食味と香りが弱く、等級は低く位置づけられるが、廉価で耐熱性が強く、揚げ油には最適とされている。
そのメリットは次の通りだ。
(1)耐久力=酸化分岐点は約二二〇度C。耐熱力が強く油が長持ちする(一般油は約一八〇度C)。油が酸化(劣化)しないので胃にもたれない。
(2)品質アップ=粘度が強く素材が油を吸収しないのでカラッと揚がる。油を吸収しない分、ヘルシーに仕上がり、冷めてもおいしい。
(3)低コスト=業務用価格相場はピュアの1/2~1/3、一般揚げ油の約二倍。耐久力が強く使用量が減るので結果的にランニングコストが圧縮。
(4)無味無臭=熱処理してあるので食味と香りが立たず、素材の食味と香りを壊さない。揚げ物に最適。
なによりも健康上のメリットは周知の通りである。
オリーブ油の活用メリットはかねて指摘されていた。だが、調理現場では、(1)高コスト(2)独特の香りが強い(3)成功例がない、などから敬遠されてきた。その要因は、バージン油などの一番絞り油を対象にとらえてきたからにすぎない。
また、実用性あるポマース油についても、一部識者から「食味と香りのない低級油」と揶揄(やゆ)されてきたきらいがある。そして発がん性物質混入による一部スペイン産の現地回収騒動。
ポマース油がオリーブ油ブームの中で表舞台に立たなかったゆえんである。
「食味と香りがないのは揚げ物にとって好都合。コストパフォーマンスと健康志向のメリットを踏まえれば絶対にお得です」とはポマース油の輸入元(株)健興通商(東京都千代田区、電話03・3239・3321)の傳健興社長。「種別の使い道とメリットが認知されればオリーブ油ブームはもっと盛り上がる」という。
ポマース油が揚げ物市場活性の起爆剤になるか見物だ。
◆「オーケー」本部所在地=東京都大田区仲六郷二‐四三‐二、電話03・3733・6161(代表)、都内拠点に三〇店舗展開