この一品が客を呼ぶパスタ編・京都:「パスタ アインス」アインス風

2004.08.02 288号 8面

パスタ専門店のこの店で、ちょっと異色ともいえるのが、トマトケチャップで炒めた「アインス風」スパゲティ。昔、喫茶店で食べたような懐かしい味が、今でも男性を中心に、根強い人気を保っている。その秘密は、卵でとじたり、こだわりのチーズを使ったりと、“ここでしか食べられない”こだわりの味にあるようだ。

京都の中心・四条烏丸近くで、開店四〇年を数える。当初は喫茶店だったのだが、パスタをメニューに加えたところ、爆発的な人気を博し、そこからパスタ専門に業態変更を行った。

今ではペペロンチーノからワタリガニまで、バリエーション豊富なスパゲティに、手打ちのフェトチーネ、ラザーニアなどをラインアップ。二〇~三〇代の若い女性をメーンとした客層に支えられている。開店当初はビジネス街だった近辺も、今では各種の専門学校や若者をターゲットとした店がオープン。土・日曜の客足も、若い世代を中心に伸びてきているという。

そんななかで、オールド・ファンの心をつかんで離さないのが、「アインス風」のスパゲティ。この店のパスタ人気の中心となったメニューである。

いわゆる“イタリアン”がベースで、ゆがいたパスタと玉ネギ、ベーコン、マッシュルームをトマトケチャップで炒める。焼きそばのように、しっかりめに炒めるのがおいしさのポイントだ。それを熱した鉄板の上にのせ、卵と牛乳を混ぜたものでとじるのが、アインス風。見た目にもユニークな一品となる。濃い味のスパゲティに、トロリとまろやかな卵と牛乳の風味が加わり、普通のイタリアンにはない奥行きがある。

オーダーするのは、主に初老の中年男性で、昔からの常連客たち。同メニューはウスターソースと相性がよく、一緒にソースを頼む人もいる。そんなB級グルメ的な味わいに引かれてか、若い客からのオーダーもあるという。

◆パスタ アインス(京都市中京区烏丸通蛸薬師角手洗水町マスミューチュアル生命ビル地下一階、電話075・221・2466)営業時間=午前8時~午後10時、土曜・午前10時~、日曜・~午後9時、無休/席数=四四席

◆食材の決め手 イタリア原産チーズ 取り扱い(株)ジェー・シー・シー(横浜市鶴見区)

この店のパスタで、一番のこだわりといえばチーズ。イタリア原産のパルミジャーノ・チーズのかたまりを、その都度おろして使っている。値段は張るが、安いものと比べると、味わいがだんぜん違うそうだ。

「アインス風」スパゲティにももちろん使われているが、チーズの風味が強いため、卵と牛乳に塩で下味を付けなくても十分だという。チーズを追加したい人には、おろし器と一緒にテーブルに運び、要望に応えている。

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