飲食トレンド:京野菜をシュークリームに 四季折々の旬の味

2006.05.01 314号 1面

今やブランドとなった「京野菜」。日本料理はもちろん、フレンチやイタリアンでもメニューに取り入れる店が増えている。ところが、料理だけではなく、菓子の世界にも進出したのが、昨年11月から登場した「KYO‐VEGETABLE CHOU」。1871年創業の和洋菓子製造卸「石田老舗」プロデュースのシュークリーム専門店「Creme de la Creme」(クレームデラクレーム)が販売する、京都らしくかつモダンな商品である。地元客をはじめ、インターネット販売でも好評という、その新しい試みを取材した。

京都御所の南にある「クレームデラクレーム」烏丸本店は、1999年にオープンしたシュークリーム専門店。1階は製造・販売部門、2階にはカフェスペースが設けられ、シューデザートやランチなども楽しめる。ショーケースには、出来立ての華やかなシュークリームがズラリと並び、その一画に「KYO‐VEGETABLE CHOU」のコーナーがある。店売り(2店舗)だけで、1日約1000個を売上げる大人気商品である。

季節の京野菜を、クリームと皮に混ぜ込んでいるのが、このシュークリームの大きな特徴。野菜自身が持つ甘みを生かしたクリームは、あくまでも優しい口当たり。小ぶりで、1個189円という手ごろ価格も魅力だ。季節の風味を、食べ比べてみる楽しさもある。

5月末までは、春の商品として、「壬生菜」「丹波黒豆」「京たけのこ」「やまのいも」を販売。なかでも一番人気は、カスタードにプラスした黒豆きなこが香ばしい「丹波黒豆」。クリームの中からは、自家製で炊いた黒豆も2粒顔を出す。

また、鮮やかな緑のクリームの「壬生菜」は、口に入れた瞬間、葉野菜独特の香りが感じられる逸品である。そのほか、クリーミーな「やまのいも」や、まろやかな味わいの「京たけのこ」など、どの品からもパティシエの意気込みが伝わってくる。

「京都で生まれた店だからこそ、京都らしいものをと考えました。旬の味を生かすため、素材にもこだわり、野菜は契約農家から仕入れています。ウチにしかできないシューをと、試作に試作を重ねて作り上げたものです」と、製造担当取締役兼総製菓長の早嵜(はやさき)伸也さん。

この京野菜シューが生まれたきっかけともいえるのが、3年前から通年販売している「京の白味噌」という。味噌の老舗「御幸町関東屋」に、塩分控えめのシュークリームに合う味噌を特注。さらに、「半兵衛麩」の生麩をクリームの下に敷き、モチモチした歯応えに。まったりした味わいが、京都らしさをアピールしている。

これからは、「加茂茄子」や「万願寺とうがらし」「京とまと」などの夏野菜を活用したシュークリームが登場する予定。どんな味で京都を感じさせてくれるのか楽しみだ。

(中尾みち代)

◆「Creme de la Creme」(クレームデラクレーム)烏丸本店(京都市中京区烏丸竹屋町少将井町225、電話075・241・4547)営業時間=午前10時~午後8時、火曜定休(祝日除く)/三条店(京都市中京区河原町三条東入大黒町37、電話075・221・4547)営業時間=午前11時~午後10時、無休

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