電化厨房特集:専門店電化厨房最前線=早野商事「La cucinna HANA(ラ・クッチーナ ハナ)」

2009.05.01 356号 08面
「見た目」が重要なオープンキッチン。フラットな厨房では整理整頓しやすく、衛生的

「見た目」が重要なオープンキッチン。フラットな厨房では整理整頓しやすく、衛生的

ラ・クッチーナ ハナ 林田潤 料理長

ラ・クッチーナ ハナ 林田潤 料理長

 早野商事(株)のイタリアンレストラン「ラ・クッチーナ ハナ」が開業したのは2005年のこと。千葉市郊外の1700坪の広大な敷地に建つ一軒家レストランであり、同社の電化厨房導入の第1号店だ。この事例をもとに、他業態での電化も検討しており、取り入れ始めている。

 ●電化厨房だからこそ可能だった「雰囲気優先」の店づくり

 「ラ・クッチーナ ハナ」は、早野商事(株)の持つ、魚を市場で直接買い入れる権利を生かし、千葉産の鮮度のいい魚介類をメーン食材としたイタリアンレストランだ。

 「これまで和食店を中心に店舗展開をしてきたため、なかなか電化に踏み切れずにいました。しかし、同店は料理の特性上からもそれが可能であり、また、約130坪という大型店舗ですから、いかに初期投資を抑えるかという点からも電化厨房を選択することとなりました」と、店長の十二町賢氏。

 こうして、電化厨房導入第1号店となった同店だが、実は「オール電化」ではない。本格的なナポリピザを作るために、ピザ釜だけはガス式の石釜を使用しているのだ。

 そのためにオール電化割引の対象とはならなかったが、ランニングコストを含めた数値面、快適な職場環境といった非数値面などトータルで見た結果、電化厨房を採用したことで得たメリットは大きかったという。

 「これだけの大きさのオープンキッチンを持つイタリアンレストランは珍しいと思います。それが実現できたのは、排熱や放射熱が少ない電化厨房ならではでしょう」と十二町氏。

 さらに同店は、客席の天井高6mと空調の効きづらい造りだ。

 「ですから、もし電化厨房ではなかったらと思うとゾッとします」(十二町氏)

 また、大掛かりなダクトが必要ないことも、雰囲気優先の店づくりでは大きなメリットであったようだ。

 初期投資は2億5000万円。うち、厨房設備費は約1400万円。導入した電化厨房機器は、IH調理器8口、パスタボイラー2台、オーブン2台、スチームコンベクションオーブン、フライヤー、グリラー各1台である。

 ここでの事例をもとに、同社では徐々に和食店やビュッフェレストランなどでも電化厨房機器を取り入れ始めている。

 ◆現場のコメント:ラ・クッチーナ ハナ 林田潤料理長

 IH調理器の立ち上がりの早さは素晴らしいと思います。ですが、その半面「焦げさせやすい」というデメリットにも…。しかし機器に慣れ、使いこなすことで、そうした問題もすぐにクリアできましたし、沸点調整など電化厨房機器ならではの利点も調理に生かせるようになりました。

 また、ゴトクに鍋底が当たる音などがしないので、「静かさ」も特徴の1つだと思います。

 ◆使用機器紹介:ニチワ電機(株)「IH調理器(MIR-1035TA)」

 立ち上がりの早さ、そしてハイパワーの火力で調理時間の大幅短縮を実現。もちろん、火力は火力調整つまみによって、無段階に調節することができる。調理プレートがフラットなので、汚れはダスターでさっとふき取ることができ衛生的。

 消費電力=3相200V/3000W・5000W

 ◆店舗メモ

 ●「ラ・クッチーナ ハナ」/所在地=千葉県千葉市若葉区若松町1-1

 ●早野商事(株)/本部所在地=千葉県千葉市若葉区桜木6-19-75/事業内容=千葉県を中心に「波奈」(和食)、「かつ波奈」(豚カツ)など49店舗を展開中。

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