和食、無形文化遺産に “文化の営み”評価 商業利用は厳しく制限

2014.01.06 418号 21面

 日本の「和食」がユネスコ無形文化遺産として登録が決まった。国連教育科学文化機関(UNESCO)の審査が、アゼルバイジャンの首都バクーで始まり、「和食」は昨年12月4日に決まった。農林水産省には輸出促進に弾みをつけたいとの考えもあったが、商業利用は厳しく制限されている。

 無形文化遺産は、世界遺産、記憶遺産と並ぶUNESCOの事業の一つで、芸能、社会的慣習、祭礼行事、伝統工芸技術などを保護する。日本の無形文化遺産としては、歌舞伎、能楽などに続く22件目となる。

 “食”は世界的にみても「フランスの美食術」、スペインやギリシャなど4ヵ国の「地中海料理」や「メキシコの伝統料理」、トルコの「ケシケキ(麦がゆ)の伝統」の4件が登録されている。

 UNESCOへの申請では、和食の特徴として、(1)多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用(2)バランスが良く健康的な食生活(3)自然の美しさの表現(4)年中行事との関わり–の4点を挙げ、日本人の食に対する考え方として「自然の尊重」を掲げた。食材などの単なるモノではなく、複合的な文化の営みを無形文化遺産とした。

 無形文化遺産にするかどうかを検討してきたUNESCOの補助機関は、「文化的な営みの理解を深めるために、市場の拡大は必ずしも必要ない」と位置付けていて、無形文化遺産の商業利用に否定的な見解を示している。

 農水省は食文化学習ツールの作成などを行ってきたが、今後は和食コンテストの開催などのほか、全国学校給食甲子園で和食のポスター掲示などを実施する。

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