図表で見る!外食・中食調査レポート 外食・回転寿司市場 回転寿司の次なるチャンスは?
◆ファミレス化する回転寿司の次なるチャンスは?
「寿司」といえば、先月来日した米オバマ大統領と安倍首相の夕食に選ばれるなど、日本だけでなく世界で人気の日本食メニューの一つである。なかでも近年回転寿司は、サイドメニューを強化し「ファミレス化」とメディアにも取り上げられ注目を集めている。
その成長要因の一つは、郊外型店舗の増加でファミリー層の利用が増えたこと。そして外食で原価率が高いといわれる寿司業態の中でIT化によるオペレーションの効率化に成功し、他業態との価格競争力を高めたことで成長をしてきた。
今回のレポートでは、この外食における回転寿司市場のトレンドについてエヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST(※1)』から探ってみる。
●外食市場の回転寿司の食機会数(※2)は伸びている
まずはじめに、外食市場における業態別 食機会数の伸び率を2009年と2013年で比較してみる。
2013年外食市場における食機会数の伸び率(2009年比)は、業態全体で+2.1%増加した。なかでも回転寿司業態は+9.8%伸びており、外食市場で好調なファミレス業態をも超える伸び率であることがわかった。同じ寿司を提供する寿司店(回転寿司を除く)の伸びが苦戦するなか、回転寿司が好調な様子がうかがえる。
ちなみに外食市場の業態シェアを見ても、回転寿司のシェアは2009年上位12位であったが、2013年には9位まで伸び、回転寿司は近年外食で消費者に好まれる傾向であることがわかる。(特典データ)
●回転寿司は「子供」連れの比率が高い
それでは外食市場で成長する回転寿司業態は、どのような人に支持されているのだろうか。図表2は、外食市場における業態別グループタイプのシェアである。
外食全体では「一人で」が41.6%と最も大きく、5年前と比べても+6.4ポイント伸びている。業態別にみると「一人で」のシェアが大きいのは寿司店(21%)とファミレス(20.7%)で、回転寿司(13.4%)におけるシェアは大きくない。
回転寿司に注目すると、各業態と比べて子供を含む家族・親戚と食べる機会が圧倒的に多く(21%)、ファミレスにおける同シェア(13年12.2%)と比べても高いことが特徴である。
このことから、回転寿司は他業態と比べて「子連れファミリー層」の支持は得られているといえるが、外食で大きなシェアを占める「一人利用」ニーズに対しては、まだ成長の余地がありそうだ。
●強化ポイントは子供連れの親向けサービスの充実
外食市場全体やファミレスと比べて成長する回転寿司は、他業態と比べて「子供連れの家族」の比率が大きいが、それはなぜだろうか。図表3は2013年の外食市場における店舗選択理由を業態別に比較したものである。
まず回転寿司の選択理由として最も大きいのは「手頃な価格(55%)」だが、その数値は5年前比で減少傾向で、逆に伸びたのは「料理のおいしさ(36.5%)」である。もう一つの特徴として、他業態と比べ回転寿司は「好きなメニューがある」「メニューが豊富だ」から選ばれる傾向がある。近年サイドメニューを強化した戦略が幅広い年代の消費者に支持され、子供連れの家族の評価にもつながっているのかもしれない。
ちなみに回転寿司は「子供連れでも入りやすい」よりも「子供が好き」が多く、この傾向はファミレスと逆であることも興味深い。回転寿司は親以上に子供に支持をされている様子が伺える。
回転寿司業態の次なる成長のヒントとして、いかに一人で利用する客層を増やせるか、そして子供だけでなく親にも選ばれる環境やサービスを充実できるかが考えられよう。
※1 CRESTとは…外食・中食市場において「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1年365日、直接消費者から収集し、年間13万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は http://www.npdjapan.com/service/food.html
※2 食機会数とは…外食・中食を利用した延べ食機会(朝/昼/夕/間食)数
※3 業態について…JapanCRESTでは、外食・中食市場におけるあらゆる業態を調査しています。今回分析した業態区分の定義は下記の通りです。
・回転寿司…スシロー等の回転寿司チェーン
・寿司店…回転寿司を除く寿司店
・ファミレス…和風ファミレス、洋風ファミレス、中華ファミレス、焼肉ファミレスなどを含む業態
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