チーズ料理の繁盛店:ピッツアとチーズ料理の店「ちーず亭」

2000.11.06 215号 7面

一九七一年オープンのピッツァとチーズ料理の店「ちーず亭」。世は高度成長期の時代。海外旅行は盛んとなり食生活も洋風化傾向にあったが、「洋食の摂取量はいまひとつ。なじみは薄いが栄養豊富なチーズの店をやってみよう」と挑戦したのが近井邦博店主。以来孤軍奮闘の結果、現在では三〇種のチーズ料理を繰り広げる専門店として定着している。

「チーズに絞り込んだ店をやろうと決めてからは、あらゆるチャンスを利用して食べ歩きました」という近井店主。大胆にもオープン前の一年間をプレオープン期間とし、「家族をはじめ友人、知人をお客に見立て、多種多様のチーズ料理を試食してもらい、開店に備えた」と笑う。

何事にも凝り性の店主。これに止まらず、本場のチーズ料理を食べなくてはと、スイス、フランス、イタリアへチーズ研究の旅に出る。

「百聞は一見に如かず。チーズの管理、料理でのバランスのよい使い方、一つ一つが勉強になった」

スタートの柱は、当時の大阪では三軒くらいしかなかったピザ。これに加えてのチーズ料理。

ピザは一般的に強力粉を使うが、差別化しようと薄力粉を使いクリスピー感を強調。また特製の鉄板で粉を振らずに焼成する独特の方法。

初めて食べた人は、「チーズがこんなにおいしいものとは知らなかった」と若者たちに大反響。口コミで次第にファン層をひろげていった。

三〇年後の今でも、懐かしい味として来店する客は多い。加えて裏通りにありながら若いカップルの店としても賑わっている。

○シェフから一言 ちーず亭店主・近井邦博さん

初めてチーズを食べたとき、ただ臭いというのが実感だった。次第にこれに慣れ親しみ、料理にも使いはじめてみると、こんなに味を変えてしまうのかと改めてチーズの奥深さに感じ入った。

チーズは基本的に焼き用、煮込み用、グラタン用など用途別に使い分けるが、ブレンドで独特の味わいがでる。そのためにもつなぎのチーズを上手に使うとよい。例えば個性の強いものにマッチするモッツァレラなど。

今気に入っているのが、乳脂肪分高く、歯切れのよいサムソー。煮込み、グラタン、焼きなど何にでも使え、チーズフォンデュ以外のすべてのメニューに使っている。

◇店舗データ

◆ピッツァとチーズ料理の店「ちーず亭」(大阪市北区西天満四‐一‐二一、06・6364・7684)営業時間=午前11時30分~午後2時、5時~10時、日曜・祝日定休

○シェフおすすめメニューの簡単レシピ

●ミックスピッツア(1200円)

薄力粉にワイン、牛乳、卵、香辛料、塩を練り合わせ、第1次、第2次発酵させたら粉を振らず鉄板に薄く広げる。ソースとしてトマトピューレ・ペースト、玉ネギ、エシャロットなど香味野菜5種をプロセッサーにかける。ドゥにソース、トッピングのピーマン、スモークベーコン、小エビ、玉ネギなどをのせる。これに乳脂肪分、塩分などを調整しながらブレンドしたチーズとオレガノを散らしオーブンで焼成する。

●シーフードグラタン(1600円)

カキ、エビ、イカ、ムール貝、アサリなどを、アク抜きのため白ワインに軽く通してあげておく。チキンと野菜のみじん切りをソテーし、ベシャメルソースとホワイトソースに加えて煮込み、先の魚介類を入れ、溶けておいしい高乳脂肪分のチーズを3~4種ブレンドしてのせ、さらに白ワインを振り、焼き上げる。

●チーズフォンデュ(2800円)

鍋にエメンタール、グリエール、フォンティナなどのチーズ、白ワインを加えて火にかけ、乳脂肪分、塩分など味と濃度を調整。最後にキリッシュ(チェリー酒の一種)をかけて味を決める。バスケットの中にスプーン代わりの具材として、角切りパン、ポテト、ブロッコリー、ソーセージ、甘唐辛子、パイナップルなどを添える。

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