お店招待席 「カルネ・ステーション」焼肉レストラン 東京・銀座
JR新橋駅から三、四分のところ。銀座八丁目は博品館の斜め右前、首都高速道路下の商店街「銀座ナイン」の地下一階での出店だ。
この9月15日にオープンしたばかりの新装店だが、肉や輸入ワインのディスカウンターで話題のハナマサの経営だ。
店舗面積二五〇坪、客席は五〇人前後を収容できるパーティールームを含め三四六席。新橋、銀座周辺でも有数の大きさを誇る店舗規模だ。
以前ここは大手外食企業のCKがあったところで、それが撤退したことにより、出店が可能になった。
地下出店だが奥行きがあるのに加え、内装面でもミラーを多用していることと、壁面の金びょうぶをデフォルメしたペインティングテクニックが、天井の無数の小さな白色灯の光に反射して、ホテルの宴会場のようなゆとりのある空間をアピールしている。
客席は四人掛けが基本だが、席数が多いので一人でも座われることができる。テーブルには無煙ロースター(焼台)が据付けられている。
この店は焼き肉レストランで、肉料理が売りものだ。店名の「カルネ」は、スペイン語の「牛肉」という意味で、肉料理をバイキング方式の食べ放題で提供、低価格ニーズにマッチさせたパワフルなレストランだ。
このシステムは、ランチタイム(午前11時~午後3時)が九七〇円(コーヒー付)で食べ放題(時間制限六〇分)。夜はディナータイム(午後3時~11時)二九〇〇円で食べ放題、飲み放題(同一〇〇分)の“激安価格”だ。
このバイキング方式は単に肉の食べ放題だけではない。スープ、ごはんが付くのはもちろんのこと、生野菜、キムチ、カクテキ、サラダ、フルーツとフルコースで対応しており、これがすべてお替わり自由の食べ放題。激安を通り越して、むしろ“異常価格”(スーパー・ロープライス)だ。
肉はもちろんロース、カルビ、タンなど焼き肉材料のすべてを揃えている。定番の焼き肉の素材に加えては、アラカルトメニューとして、単品価格四五〇円で特上霜降牛ロース、特上牛タン、特上牛霜降カルビ、特上骨付カルビ、クルマエビ、ズワイガニなどもラインアップしている。
肉類はオーストラリアやアメリカ産の輸入肉だが、質的には和牛肉と大きな差はなく、タレのうまさもあって十分に満足できるものだ。
ディナータイムの飲み放題はアルコールがワイン、ビール、サワー、ジュース類などで、とくにワイン類はこの店の売りものの一つだ。
ワインは店内のその日の特定銘柄であれば備え付けのディスペンサーで飲み放題だがボトル売り(七五〇cc)であれば、「ボータ」(スペイン)三九〇円、「ホック」(ドイツ)四九〇円、「アルテミス」(ギリシャ)五八〇円、「キャンティ・リカイアノ」(イタリア)五八〇円の安さで、これも従来のレストラン売りのワイン価格とは大差のあるプライスゾーンだ。
アルコール類はワインだけではなく生ビール(大ジョッキ)六八〇円、輸入缶ビール二〇〇円、レモンサワーグラスワイン各二〇〇円も揃えている。
ワインは飲み残したものは持ち帰ることもできる。肉とワイン、日本ではまだまだ欧米に比べてなじまない食スタイルだが、ハナマサはこれを積極的に推進していこうと考えているわけだ。
オープンしてまだ一ヵ月だが、平日の昼はサラリーマンやOL、夜はこれら客層に加えてパーティー客、土・日・祭日はファミリー客やカップルなどで、日を追って客数が増えてきている。
客単価は昼一〇〇〇円、夜三〇〇〇円。売上げは日商一二〇~一三〇万円。これは目標より二割下回っている数字だが、目立った宣伝をしていないことを考えると善戦している内容だといえる。
「昼のランチタイムは社員食堂並みの混み方でおどろいております。夜は一般客相手になりますけど、正直いって店の存在が目立ちませんから、その点ハンディがありますけど、おかげさまでパーティー客の利用が増えてきておりますから、十分に目標をクリアできる状況です」(総支配人・鶴岡高三氏)
客にとっては願ってもない超激安の焼き肉のレストランだが、店にとっては“薄利多売”の運営システムで、目標の客数をどうキープするか、大きく注目される。
(しま・こうたつ)
「バイキングコーナー」の全景。写真右手のレーンはごはんとスープ、トレイと皿置き台。左手は焼材のレーン
「昼は社員食堂、夜は居酒屋という雰囲気で、日を追ってお客様が増えてきております」と話すのは総支配人の鶴岡高三氏
・所在地/東京都中央区銀座八‐五、銀座ナイン三号館地下一階
・電 話/03・5568・6167
・営業時間/ランチタイム午前11時~午後3時、ディナータイム午後3時~11時、無休