タイ米と上手に付合う法・おすすめご飯料理

1994.04.18 50号 16面

今年は、昨年の大不作の影響で国産米がひっ迫し、大幅な量を外国産米に頼らざるを得ない状況にある。

カリフォルニア、オーストラリア、中国、そしてタイ産米が入って来ている。タイ産米を除いては、国産米と性質が似ているため、そのまま単品で炊いても、国産米とブレンドしても違和感がないが、問題はタイ米である。

中・短粒の国産米、カリフォルニア米などと異なり、タイ米は長粒で、日本人にはなじみのない個性的なところがある。

おかゆなどは別にして、炊いて白飯のまま食べて、おいしいかまずいかの評価が下される日本食、その常識をそのまま持ち込むのは、長粒種のタイ米と上手に“つきあう”方法とはいえない。

日本人になじみは薄いが多くの国々の多くの人に愛されている長粒種の、中・短粒種に見られない独特のおいしさを引き出す調理法と食べ方を考えてみた。

今年、輸入されているタイ米はロング・グレイン(長粒種)。中・短の国産米とは特徴が異なり、炊いた白飯をそのまま食べては、おいしいコメとはいえない。しかし、イタリアやスペインなど西欧の人たちや、広東、香港など中国の人たちには愛好されている。このコメのうまさを生かしてきた各国の人々の食べ方に学び、いろいろな調理法の中で、日本人にも合う料理としてチャーハン、シーフードカレー、リゾット(西洋おじや)を紹介する。

〈協力=全糧連・料理/西田龍美(全糧連料理教室室長)〉

チャーハン、ドライカレーなどにはロング・グレイン(タイ米)が合うが、二割ぐらいミディアムかショートを入れたものが合うのもある。

ここではタイ米(ロング・グレイン)を80%、それにカリフォルニア、中国、オーストラリアなど(ミディアム・グレイン)を20%入れて炊いたもので料理した。

◆チャーハン

〈材料〉ご飯、カニ缶、チャーシュー、卵、根ショウガ、ニンニク、長ネギ

〈調味料〉サラダ油、コショウ、塩、濃口醤油、オイスターソース(カキ油)

●作り方

1フライパンを熱しサラダ油を入れ、ほぐした卵を流し込む。フライ返しでかき混ぜながら焦がさないように炒めて、卵がふわっとしてきたら取り出しておく。

2次に、みじん切りの根ショウガ、ニンニクをきつね色に炒める。ご飯を加えて、フライ返して押しつけるようにして炒める。ご飯がほぐれたら、薄く塩、コショウをする。

3みじん切りの長ネギを加えさらに炒める。みじん切りにしたチャーシューとカニを加え、先に炒めておいた卵をもどし、さらに炒める。

4オイスターソース、濃口醤油で味をととのえる。

◆リゾット(西洋おじや)

〈材料〉芝エビ、アサリ(水煮缶)、鶏もも肉、カブ、ニンジン、玉ネギ、アサツキ、セリ、ご飯、卵

〈調味料〉塩、濃口醤油、だし汁

●作り方

だし汁は(昆布と煮干し)ないしは(昆布と鰹節)どちらでもよい。

1だし汁の中に芝エビ(殻と頭、尻尾は取る)、みじん切りの根ショウガ、ニンニク、鶏もも肉(湯引きをする)の順番に入れ煮立てる。

2カブ、ニンジン、玉ネギ、セリは食べやすい大きさに切る。カブとニンジンはあらかじめ下ゆでしておく。これをだし汁の中に入れ、さらに煮込む。煮立ってアクが出たらこまめに取り除く。

3十分にだしが出て、野菜が柔らかくなったら、ご飯を加え、薄味加減に塩を入れる。そして濃口醤油少々を加え、吸い物ぐらいの味にととのえる。

4最後に溶き卵を流し込み、出来上がり。熱いうちに供する。

◆ドライカレー

〈材料〉ご飯(タイ米)、合い挽き肉、生椎茸、玉ネギ、根ショウガ、ニンニク、レーズン

〈調味料〉カレー粉、塩、コショウ、バター、サラダ油、酒

●作り方(全部タイ米で炊いたご飯を使ったドライカレー)

1フライパンを熱し、サラダ油を入れ、みじん切りした根ショウガ、ニンニクを炒め、次に玉ネギを加え透明に色が変わるまで炒める。

合い挽き肉を加え、さらに炒める。挽き肉に火が通ったら生椎茸を加える。

2カレー粉をたっぷり加え、具にカレーの風味と辛味をつける。具全体に火が通ったら酒を少々加えて具にからめる。

3バターライスを作る。フライパンを熱し、サラダ油を入れ、みじん切りした根ショウガ、ニンニクを炒め、サラダ油を足してご飯に入れる。フライ返しで押しつけるようにして炒める。ご飯がほぐれたら、水洗いし水につけて柔らかくなったレーズンを加えて、さらに炒める。しばらくして塩、コショウをする。全体に味がなじんだら、仕上げにバターを加えて味をととのえる。

4バターライスの上に、先程作りおいたドライカレーをのせる。

◆シーフードカレー

〈材料〉アサリ、イカ、玉ネギ、エビ、ニンジン、ジャガ芋、ホタテの水煮缶、リンゴ、根ショウガ、ニンニク

〈調味料〉サラダ油、牛乳、小麦粉、コショウ、カレー粉、バター、ウスターソース、濃口醤油

●作り方

1鍋に水を張り、昆布と殻付アサリを入れ煮立てる。途中アクを良く取り除き、アサリの殻が開いたら取り出し、殻を取る。

2フライパンを熱しサラダ油を入れジャガ芋とニンジンを炒める。これを先程取ったスープの中に入れて柔らかくなるまで煮込む。

3次に、みじん切りの根ショウガ、ニンニクを炒め、イカとエビを加えサッと炒めてスープの中に入れる。ホタテは煮汁とともに加えてさらに煮込む。

●カレールーを作る=1まず、みじん切りの根ショウガ、ニンニクを炒めたのち、玉ネギを加えて炒める。ここにバターを加えて玉ネギが透明になるまで炒める。

2小麦粉、カレー粉を加えて焦がさないように注意し、まんべんなく混ぜ合わせながら炒める。さらにスープを入れて柔らかくし混ぜ合わせ、溶かしていく。溶かしたルーをスープの中に流し込む。

3次に、味をまろやかにするためリンゴをすりおろしこの中に入れる。ここに塩少々をいれ薄味をつける。隠し味としてウスターソースを加え、最後に濃口醤油で味をととのえる。

◆タイ米の料理用ご飯の炊き方

1コメは正確にきちんと量る。

2コメとコメをすり合わせるように研ぐ。一度研いだら、水を二~三回取り換える。

3水加減。国内産のコメの水加減は、釜の目盛り通りだが、タイ米は炊き上がってから料理するので、少し控えめにする。

4炊き上がりの状態。スイッチが上がったら五分経って、再スイッチを入れ一五分蒸らす。

5炊き上がったらざるに取りほぐして冷ます。

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