食中毒と目で見るサニテーション おいしい料理は衛生管理から

1992.07.06 7号 20面

最近の一般消費者が、食品の安全、美味栄養などに寄せる関心が大きく高まってきているなかで“食品による事故”は社会的にも企業イメージ的にも大きな影響を及ぼすことになりかねない。したがって販売者は「安全な食品を提供する義務」があり、これに応えていかなくてはならない。これを怠った場合には、消費者保護基本法(昭和43年公布)で法的責任の追求が行われることになる。

事故等があった場合は①食品の製造又は販売を業とする者として社会的道義責任を有する。

②食品の製造又は販売する上で義務違反した場合法的制裁が次の部分で追求される

(イ)行政上の責任

・営業許可の取消等(食品衛生法第二二条第二三条)

・第三〇条罰則(三年以下の懲役又は二〇万円以下の罰金、情状により併科することが出来る)

(ロ)民事上の責任

・民法第七〇九条(故意又は過失に因いて生じたる損害を賠償する責に任ず)

(ハ)刑事上の責任

・刑法第二一一条(業務上必要なる注意を怠り、因って人を死傷に致したる者は五年以下の懲役若しくは禁固又は二〇万円以下の罰金に処す)

とある。「うちに限って大丈夫」と安心はできない。近年では、一般消費者の健康安全面から食品の腐敗やカビの発生を防止する化学薬品などの添加物や農畜産物養殖漁業の防疫薬剤が食品中に物質残留するため、大幅に法規制を受け、逆に付着微生物(食中毒菌等)の増殖条件を良好にしている。また、細菌の増殖条件として水分、温度、栄養の三要素があり、販売者は温度を低くしてこの増殖を抑えている。しかし、最近では百貨店、スーパー、コンビニエンスストアー、ファーストフードなどに駐車場が完備されている所も多く、顧客は三㌔㍍から六㌔㍍、長くは一〇㌔㍍以上も離れた住居からアプローチしてくるので、喫食までの温度上昇を見逃すことがある。

このような状況下で、販売者は食品に菌を付着させない努力をこれまで以上に行わねばならない。食中毒はたった一人の不注意で交差汚染することもあり、各従業員の衛生、自主管理が肝要であり、企業の従業員教育も行われている。

こうした努力や管理のなかで気を配っても、異種食品の混りや、いろいろな物(タオル、手指、調理器施設など)を介して交差汚染を起こし食中毒が起る場合もある。これらを防止する方法として、種別、用途によりカラー色でコントロールすること。目で見る衛生管理、提供食品の安全かつ鮮度保持も一層高まり、こうした形も顧客サービスの向上と企業姿勢の差別化につながる。

店選択の大きな要素は味、清潔感、そして雰囲気が三大キーポイント。梅雨から盛夏期にかけて、最も“危険なシーズン”。日頃“やらねば”の意識を実行、他店との差別化に役立てたいものである。

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