トップインタビュー ヒガ・インダストリーズ代表取締役社長・アーネスト・M・比嘉氏
不景気と競合激化が重なったここ数年で、デリバリーピザ業態のチェーン勢力は再編成された。メニュー、サービスでオリジナル性の濃いチェーンが伸びたと見ている。これからは、伸びているチェーン同士の競合が一層強まる。システム、組織力が試される段階に突入するだろう。
もとよりデリバリーピザは業態としてまだ発展途上。景気や競合による影響力は他の外食業態に比べて弱い。コンビニエンスニーズの高まりとデリバリーの認知高揚を加味すればマイナス要因は打ち消されるからだ。それだけに景気の上向きに応じて好転する保証もない。業態構築の模索時期はまだ続くと見ている。
いままでの展開では、流行やコンビニエンスニーズが支配的だった。だが、インターネットなどハイテク通信のインフラが整う今後は、社会そのものがデリバリーに適する環境と化す。追い風が吹くのはこれからが本番。業態の見通しは明るい。
今後業態を定着させるうえで取り組むべき重要課題は、デリバリー時の交通安全対策だ。セールスは大切である。しかしセールスを広げるならば、それに見合う社会責任、貢献が義務づけられる。企業として当然のことである。
交通安全教育を業態の文化的貢献と見なし、デリバリーに関わる多くの若者に啓蒙する必要がある。だが、いまだセールスばかりで交通安全教育にうとい店があるのも事実。一つの事故は業態全体のイメージダウンを招く。業態スクラムを強化し交通安全教育の機運をさらに高めていきたい。
メニュー展開については、ハーブを生地に練り込んだ「ローマハーブクラスト」を新たに導入する。これは米国ドミノでも大ヒットしたもので、クリスピークラストに続く、新規需要促進アイテムとして期待している(詳細17面に)。
店舗展開については二〇〇〇年までに三〇〇店舗体制を築く(現在一五〇店舗)。東京、大阪地区の出店はほぼ済んだ。今後は地方出店を強化する。出店地区は未定だが、おそらく仙台か福岡になるだろう。
地方店舗には東京ほどのビッグセールスが期待できない。そのため月商を既存店対比七〇%に想定した、地方向けの出店フォーマットを新たに作成中だ。
視野にある新機軸はインターネット関連事業。現在展開中の衣類通販などを含め、顧客個人に合わせた情報発信を検討中だ。デリバリーピザの展開で得た顧客データは、今後の通信(通販)事業に欠かせぬ貴重な財産だ。
ブランドイメージを訴求してきた当社の場合、顧客層のレベルが高い。ドミノ・ブランドを生かした多角化を打ち出す意向だ。