地域ルポ 都立葛西臨海公園 水族館・鳥類園が核、潮風求め年間400万人

1997.10.06 137号 8面

JR京葉線葛西臨海公園駅。東京駅から約一五分。東京は江戸川区の東のはずれに位置する。東側隣りの駅がディズニーランドの舞浜で、シンボルのシンデレラ城や臨海部のホテル群がよく見える。旧江戸川を隔てて千葉・浦安市が隣接するロケーションにあるわけだ。駅名通りに南側臨海部に広大な公園が広がっており、都内でも有数のリゾート空間を展開している。

広さ約一〇〇〇ha(一三〇万坪)。一八ホールのゴルフ場が二、三個分はできるスケールだ。

平成元年の開園で、この広大な空間の中に「水族園」や「鳥類園」などの文化施設も展開しており、小中学生などの野外活動の場としても利用されている。

年間来園者数約四〇〇万人(平成8年度)。ハイシーズンはもちろん6~8月の夏場だが、お台場や有明地区に飲食やショッピング施設、公園ビーチが整備されてからは、来園者は減少傾向をみせてきているという。

臨海公園にも江戸川区役所が事業主体のホテルレストラン「ホテルシーサイド江戸川」ほか、ジェイアール東日本都市開発(東京支店事業部)経営の「越後そば」、ハンバーガーレストラン「ロッテリア」、(財)東京公園協会直営のキャフェテリア「ブルーマリン」「マリンビュー」、また、焼きそばやアメリカンターキードックなどの売店が点在しており、多様な飲食施設を量的に集積するお台場や有明のレストラン街に比べればはるかに賑わいはないが、最小限の飲食施設は整っているという状況だ。

しかし、都立の公園とはいえ、来園者の利便性やドライブ客、地域住民の飲食ニーズを考えれば、まとまったレストラン施設があってもいいという印象をもつのだが、お役所仕事にはそんな柔軟な思考は望むべきもないということか。

レストラン「シーサイド」。公園の芝生に面して東西に向かって展開する。店舗面積一二〇坪、客席数一三〇席。ティールーム「オアシス」とともにセゾングループ西洋フードシステムズの委託運営で、ハイバリューのサービスを提供しながら、“公園”という場所柄、Tシャツ、Gパンでも気軽に入れるというカジュアルさ、フランクさをマネージングマインドにしている。

料理は和・洋で、魚料理一七〇〇円、一九〇〇円、肉料理が一七〇〇円、二〇〇〇円、二四〇〇円など。

コース料理は五三〇〇円、八二〇〇円、一万一〇〇円など。

料金はすべて外税(サービス料一〇%)だが、高価格の一万一〇〇円「シーサイドスペシャル」(シェフのおまかせコース)は、前菜、本日のスープ、シャーベット、牛ヒレ肉のステーキ、季節のサラダ、フルーツ、コーヒー、パン、バターという組み合わせ。

京風懐石料理(二九五〇円)もある。これは口代わり、刺身、煮物、冷やし鉢、ご飯、香の物、お椀、水菓子の八品が並ぶお値打ち品だ。

もちろんランチメニュー(一一〇〇~一五〇〇円)もある。客単価は昼一五〇〇円、夜三五〇〇円。

ハンバーガーレストラン「ロッテリア」。FC店でジェイアール東日本都市開発東京支店(東京・秋葉原)の直営店。平成7年7月オープン。

高架下一階での出店で店舗面積約七〇坪、客席数一〇〇席。地域唯一の大手外食チェーンで、連日の賑わいをみせている。

おすすめ商品はキャンペーンセール中の黒豚かつセット五七〇円、デラックスセット六一〇円、ハンバーガーとえびのセット七六〇円、リブサンドセット五七〇円、チーズとてりやきのセット七九〇円など。

月商一〇〇〇万円以上。

営業時間午前10時~午後9時。

日本そば「越後そば」。高架下一階。ロッテリアとは姉妹店で、ジェイアール東日本都市開発東京支店の経営。

平成4年8月オープン。店舗面積四〇坪、客席数六〇席。場所違いなところでの日本そば店という印象を受けるが、店は昼時と夕方5~6時前後に、水族園や海上バスなどの帰り客が利用するくらいで、集客力は大きくない。

メニュー単価も“リゾート料金”で高い。低価格志向で数を取る工夫、回転を上げるメニューミックスの工夫も今後の課題のようだ。

臨海天ぷらそば、片木そば各一二〇〇円、夫婦そば、きつねそば各八〇〇円、ざるそば五五〇円、カレー丼一〇〇〇円。

客単価一〇〇〇円。月商四〇〇~五〇〇万円。営業時間午前11時~午後7時。

カフェテリア「マリンビュー」。ブルーマリン同様に公園協会の経営。平成7年7月オープン。展望台「クリスタルビュー」の地下一階にあり、外からの存在は目立たない。

規制にウルサイ公園での出店だけに、目立った看板も出せないので、初めて来る来園者には目に付かないという立地環境だ。このため、集客力も低い。

店舗面積八〇坪、客席は店内が八〇席、外のテラスが二〇席の計一〇〇席。ビーチに最も面しているレストラン施設でありながら砂浜も海も見えない。

やや視界の開けるテラス席を除けば、ガレージ型の店舗デザインで閉鎖的な雰囲気だ。

スパゲティ、カレーライス、エビピラフ各五八〇円、クロワッサン三四〇円などが人気メニューで、客単価六〇〇円前後。月商五〇〇~六〇〇万円。

シーサイドホテル江戸川。三階建て二九室の小さなリゾートホテル。事業主体は江戸川区役所だが、施設の運営はセゾングループの(株)西洋フードシステムズが委託されている。

フロア構成は一階にレストラン「シーサイド」、喫茶「オアシス」、パーティールーム「まつかぜ」、同「フレンディ」。二、三階は宿泊施設だが、二階の一部には大広間(宴会場)「はまかぜ」が展開する。

パーティー、宴会場のキャパシティはトータルで二〇〇人くらい。都心のシティーホテルではないので、規模は小さい。

宿泊料金は一般客室で、一泊二食付き四人利用の場合で大人一万一〇〇〇円、小学生八四〇〇円、幼児六九〇〇円、一人利用で一万七五〇〇円。

食事は朝が和・洋のバイキングスタイル(一二〇〇円)、夕食が和・洋どちらかのコース料理(五三〇〇円)とリッチなものだ。

ティールーム「オアシス」。明るいアメリカンスタイルのコーヒーラウンジ。店舗面積二五坪、客席数四〇席。コーヒー、紅茶各三六〇円、ソーダ、ジュース類四四〇円、ビール六〇〇円、トースト三九〇円、チーズトースト、ホットケーキ各四九〇円など。

客単価五五〇円。営業時間午前9時~午後8時。

◇都立葛西臨海公園メモ

・場所 東京都江戸川区臨海町

・面積 全体約一〇〇〇ha(一三〇万坪)

・開園 平成元年

・施設構成 東京都葛西臨海水族園、鳥類園、江戸川区宿泊施設「ホテルシーサイド江戸川」、展望レストハウス「クリスタルビュー」、芝生広場、展望広場、潮風の広場、日本庭園、海浜公園(東なぎさ、西なぎさ)海上バス乗り場、駐車場(三〇〇〇台)、公園管理事務所

・年間来園者数 約四〇〇万人(平成8年度)

◇飲食施設

〈園外〉

・日本そば「越後そば」

・ハンバーガーレストラン「ロッテリア」

〈園内〉(ホテルシーサイド江戸川一階)

・レストラン「シーサイド」

・喫茶「オアシス」

・カフェテリア「ブルーマリンレストラン」

・カフェテリア「マリンビュー」

・その他売店、ケータリングカー

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