フランスの家庭料理に学ぶ・・・最強の長寿食

1996.10.10 13号 10面

世界に冠たる美食の一つと言われる「フランス料理」。脂肪分をたっぷり使ったフランスの料理は「おいしいけれど健康に悪い」と思われがち。しかし、フランス人の心筋梗塞発生率は日本人と同じくらい低いのが現実の数字。なぜ、ナゼ、なぜだ!…その秘密は内臓料理と赤ワインにあった。

日本人に心筋梗塞が少ないのは魚を多く食べることにある。魚に含まれる豊富なタウリンがその発生を予防してくれるからだ。

ではフランス人は? 答えは肉を食べる時に肝臓、心臓、腎臓など内臓も併せて食べ、偏った食事をしないことにあるようだ。内臓には魚と同じようにタウリンが豊富に含まれフランス人の心筋梗塞予防に役立っている。

それに加えもう一つフランスならではのありがたい食習慣は「百薬の長」のお酒の中でも健康増進に最も効果があると言われる「赤ワイン」をよく飲むことにある。とくにボルドーの赤ワインの栽培には硫酸銅が入ったボルドー液を消毒液に使うため、一番いいカビだけを残しほかの悪いカビや害虫を除く薬効がある。さらにワインに含まれる銅を摂ることで銅が作る酵素がコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に一役買ってくれる作用も。

バラエティに富んだ食材を使いさらにタウリンや銅などの有効成分が自然に摂れるフランス料理は素晴らしい生活の知恵といえるだろう。

◆新鮮なものはコレだ

新鮮なものは全体が鮮明な赤褐色またはチョコレート色で、つやがよく弾力性がある。沈んだ色でだれた感じのものは鮮度が低下している可能性がある。よく選別して買い求めよう。非常に傷みやすい素材のため、買い求めたらすぐ調理を始めるほうがベター。新鮮なものには甘みがあり、独特の風味があっても、くさみはない。

◆調理のポイント

レバー特有のくさみは血液によるもの。外側の薄い膜をむいて水洗いし、血抜きをして水気をよく拭き取る。また、タマネギのすりおろしや牛乳につけたり、しょうが汁、酒、しょう油を合わせたつけ汁に浸しておくとクセをやわらげる効果がある。血抜きを確実に行うことが調理のポイントだ。

「内臓」は関西地方では「ホルモン」、関東地方では「モツ」と呼び名はそれぞれだが、日本の家庭料理としてはまだ馴染みの薄い食材だと言える。しかしフランスでは「アバ」と呼ばれ家庭料理でもよく使う大切な食材として重宝がられている。さらに韓国、インド、マレーシア、フィリピンなどのアジア諸国では「その家畜に一つしかないものが一番尊く、貴重なもの」という考え方で価格も食肉より高価なものが多い。

また英語では「バラエティーミート」と呼ばれる。その語源は味わいにあるようだ。

部位ごとにその特徴がはっきりしているため、やわらかいもの、歯ごたえのあるもの、コクのあるもの、サッパリしているものなど、変化に富んだおいしさを楽しむことができる。

栄養面でもタンパク質、ビタミン、ミネラルなど多くの優れた成分がたっぷり含まれた食材である。とくにレバーは「栄養素の宝庫」と言われているほど。

調理のコツをしっかり理解しおいしく食べたい食材だ。

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