メニュートレンド:ローマの新ピッツァ、日本上陸! トラピッツィーノ
スローフードの国イタリア。マクドナルドはもちろんスターバックスコーヒーすら見かけることがまれなほど、ファストフードと無縁なお国柄だ。そんなイタリア人が行列を成して買い求める新スタイルのファストフードがローマ生まれの「トラピッツィーノ」だ。その海外1号店に選ばれたのは、なんと日本。2016年2月に石川・金沢、4月に東京・吉祥寺にオープンし、熱い注目を集めている。
●マンマの味をハンディーに食べる 早くも1日150人集客の人気ぶり
トラピッツィーノとは三角形に焼いたピッツァ生地の中を開いて、ローマ郷土料理を詰めたもの。ローマの人気ピッツァ店「Sforno」オーナーのステファノ・カッレガーリ氏が2008年に同品を開発し「トラピッツィーノ」をオープンすると大ヒット。“家庭料理を気軽に”というコンセプトが受けてマンマの味を愛するローマっ子たちを虜にした。
日本での展開を狙って数多の飲食企業が接触を試みる中、見事展開権を獲得したのは意外にも飲食未経験企業のGAOだ。その交渉の仕方が最高にいかしている。テレビでトラピッツィーノの人気ぶりを知った同社オーナーはすぐさまローマに飛んで自ら体験。その感動を即興の歌にしてステファノ氏に届けたのだ。斬新すぎるアプローチがステファノ氏のハートを射止めたというわけだ。
トラピッツィーノのオリジナリティーは、なんといっても独特な三角形をなすピッツァ生地。手のひらサイズで持ちやすく、フォークなどの食器なしでも食べやすい。さらに中の具材のほとんどが煮込み料理だが、時間がたっても煮汁が漏れ出したり破けたりしない。この生地を焼き上げるため、イタリアから本店と同じ小麦粉を仕入れ、本店と同じ仕様のオーブンで焼き上げている。
中に入れる具材は定番5種類に日替わり1種類をラインアップ。売れ筋は鶏のカッチャトーラ、ナスのパルミジャーナ、肉団子のトマト煮込み。どれもローマの家庭料理で、本店のレシピを忠実に再現している。
日本2号店となる東京・吉祥寺の吉祥寺店は2016年4月末にオープン。20~30代の新しいもの好きな女性を中心に1日150個を売る人気ぶり。駅前繁華街を抜けた住宅街に近い立地でもあり、子連れファミリーやシニアといった地元住民のリピーターも増加中だ。ハンディーで食べやすいため、テークアウトの客も3割を占める。
「日本はイタリア料理店が多いのにローマの家庭料理が食べられる店は少ない。新しい食べ方で本場ローマの食文化を発信していきたい」と下村奈美店長は語り、将来的にはフランチャイズ展開など多店化も視野に入れているという。
●店舗情報
「トラピッツィーノ吉祥寺店」 所在地=東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-14、1階/開業=2016年4月/営業時間=午前11時~午後9時、無休/坪数・席数=15坪・21席(うちテラス4席)/1日平均客数=150人/平均客単価=800円
●愛用資材・食材
「バラデン コーラ、チェドラータ」 輸入元=三井食品(東京都中央区)
イタリア生まれのコーラ 天然素材を使用
同店ではドリンクもイタリア産の高品質アイテムを提供。イタリア・スローフード協会「味の箱船」に認定されているアフリカ・シエラレオネの「コーラナッツ」を主原料に合成着色料不使用で製造した自然派コーラ。左はレモンソーダ味のチェドラータ。同じバラデン社のクラフトビールも揃えている。
規格=250ml(冷蔵)